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コラム

「満足なのにファンが増えないのはなぜ?」ロイヤルティを左右する“心のスイッチ”を見抜く新指標

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顧客ロイヤルティを高めるためには、満足度を上げれば良いという単純な話ではありません。どれだけ多くの顧客が高い満足を示していても、実際にはロイヤルティ向上につながらないケースがあります。その一方で、特定の要因がわずかに改善されるだけで、お客様の心が大きく動き、継続利用や推奨につながることもあります。多様なチャネルで顧客体験が複雑化する今、企業に求められているのは、体験価値の中でも「どの要素が、どれほど顧客の心理に影響しているのか」を科学的に見極める視点です。本記事では、心理ロイヤルティを構成する要因を分解し、満足度だけでは測れない「琴線への響き方」と「体験の広がり」を可視化するフレームワークを紹介します。顧客の心に寄り添い、確かなファンベースを構築するための実践的なアプローチを解説します。【ファンをつくる「顧客ロイヤルティ」の科学 #5】

満足の「質」と「量」を測る:琴線感度と体験率

前回は、心理ロイヤルティが複数の「ロイヤルティドライバー」への満足度によって形成されること、そしてその満足度を「ドライバー満足度」として測定することを論じました。しかし、単に満足度を測るだけでは不十分です。ここからは、満足の「質」と「量」をさらに深く掘り下げていきます。

そこで重要になるのが、法則2:「ロイヤルティドライバーの満足は、ドライバーごとに心理ロイヤルティへの影響度が異なる」という視点です。すべてのドライバーが同じ重みで心理ロイヤルティに作用するわけではありません。例えばカフェであれば、コーヒーの味も大切ですが、それ以上に店員さんの「笑顔」が「また来たい」という気持ちにつながりやすい場合があります。

この「気持ちへの影響度合い」、つまりお客様の心の「琴線」にどれだけ触れるかを数値化したものが「ドライバー琴線感度」です。このスコアは、あるドライバーが高い満足を提供できた際に、どれほど強くお客様の心に響き、全体のロイヤルティを押し上げる可能性を示す指標となります。従来の相関係数では捉えきれなかった、顧客が本当に心を動かされるポイントを見極めるための新しい視点と言えます。

ドライバー琴線感度は、ドライバー満足度調査で「大変満足」または「満足」(Top2Box)と回答したお客様を母集団とし、その層のKGIであるNPS(Net Promoter Score)やNRS(Net Repeater Score)などのロイヤルティスコアを算出することで求められます。これにより、「満足度は高いのに、実はロイヤルティへの影響は小さい」といった意外な発見が生まれることもあります。

さらに重要なのが、法則3:「ロイヤルティドライバーは、お客様ごとに体験しているドライバーと体験していないドライバーがある」という点です。どれほど優れた体験価値を持つドライバーでも、その体験が提供される機会が限られていれば、全体の心理ロイヤルティを押し上げる力は限定的になります。例えばアパレルショップでは「試着」をしない来店客もいますし、百貨店の「ギフトラッピング」も、ギフト購入をしないお客様には関係がありません。

そこで、そのドライバーを体験したお客様の割合を示す指標として「ドライバー体験率」があります。この体験率は、量的視点から全体の心理ロイヤルティへの影響度合いを判断する上で欠かせない要素です。

以上の3つのスコア、「ドライバー満足度」「ドライバー琴線感度」「ドライバー体験率」を組み合わせることで、各ドライバーの現状を多角的に評価でき、どのドライバーに注力すべきか、どの方向で改善を進めるべきかが明確になります。(図5)

図5:心理ロイヤルティとロイヤルティドライバーの関係

筆者プロフィール

渡部 弘毅
ISラボ 代表

日本ユニシス(現 BIPROGY)、日本IBM、日本テレネットを経て、2012年にISラボ設立。一貫してCRM分野の営業、商品企画、事業企画、戦略・業務改革コンサルティングに携わる。現在は心理ロイヤルティマネジメントのコンサルティングを中心に活動。お客様の心理ロイヤルティアセスメントに関する独自の方法論を提唱し、ファンづくりの科学的かつ実践的なコンサルティング手法を展開する。業界団体や学術団体での研究活動、啓蒙活動にも積極的に取り組む。

■ 前回のコラム記事はこちら

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