ライオン株式会社は、ボディソープの研究データを浴室用洗剤の開発に転用する独自の転移学習モデルを確立しました。開発初期はデータが限られ機械学習の適用が難しいという課題がありましたが、同社が100年以上蓄積してきた知見を横断活用することで、少量データでも高精度な品質予測を実現しました。研究成果は第48回ケモインフォマティクス討論会で発表され、優秀ポスター賞を受賞しています。昨年に続く2年連続の受賞です。中期経営計画「Vision2030 2nd STAGE」で掲げるものづくりDXのもと、研究開発の生産性向上とスピードアップを後押しする取り組みです。
このモデルの中核は、独自に開発した特徴量生成手法です。ボディソープと浴室用洗剤に共通する特徴を抽出し、浴室用洗剤の機械学習モデルに組み込みました。洗浄力や除菌力など複数の要求品質を同時に満たす必要があるため、従来は多くの試行錯誤が避けられませんでした。転移学習により未知の組成でも実測値との整合が高く、候補組成の選別が効率化されました。結果として、従来の転移なしモデルよりも高い予測精度を示し、開発初期からの仮想スクリーニングが実行可能になりました。
研究結果として、浴室用洗剤の三つの主要品質を対象に、転移学習モデルが高精度な予測を実現しました。比較では、少量の浴室用洗剤データのみで学習したモデルに対し、ボディソープのデータを活用したモデルの方が、候補組成の品質予測で優位でした。仮想スクリーニングの導入により、必要な実験数を最大約85パーセント削減できる見込みです。これにより開発期間の大幅な短縮が期待されます。発表演題は自己教師あり学習を用いた転移学習で、皮膚洗浄剤から浴室洗浄剤への特徴転移がテーマです。
ライオン株式会社は、マテリアルズインフォマティクスを活用し、研究生産性と市場投入までのスピードを高める方針です。創出された時間は、生活者ニーズの深耕や新たな製品・技術開発に充当されます。デジタル技術を最大限活用することで、品質要求の高度化に応えつつ、迅速なものづくりを実現する基盤が整いつつあります。今後は本手法の他分野展開により、製品分野を超えた価値創造が期待されます。
詳しくは「ライオン株式会社」の公式ページまで。






















