労働政策審議会の部会が労災保険制度見直しの報告書をまとめ、厚生労働省は次期通常国会に労働者災害補償保険法の改正案を提出します。柱は遺族補償年金の男女差解消で、夫に課していた55歳以上の年齢要件を撤廃します。制度の公平性向上に加え、支給額の算定や適用範囲の見直しなど、実務に影響する複数の改正が示されました。
現行制度では、労働災害で亡くなった労働者の収入で生計を維持していた配偶者や子が遺族補償年金を受給できます。妻は年齢不問で受給可能ですが、夫は妻の死亡時に55歳以上か一定の障害があることが要件です。報告書はこの差の解消が適当とし、要件撤廃を打ち出しました。あわせて、55歳以上か一定の障害がある妻のみ上乗せしていた特別加算を廃止し、年153日分と175日分の二本立てを年175日分に統一します。統一後は夫や子も同水準の給付が可能になります。
適用範囲の見直しでは、農林水産業の事業者を労災保険の強制適用対象に加えます。現在は農業の個人経営で常時雇用が5人未満の場合、加入は任意ですが、新たに約12万の事業者が加入すると見込まれます。さらに、フリーランスや一人親方が特別加入する際の受け皿である特別加入団体について、通知で定めていた要件を法令で明確化します。団体の事務体制や財政基盤などを要件として示し、運営状況を監督し改善を促せる仕組みを整えます。
厚生労働省は報告書を踏まえ法案提出と成立をめざします。遺族年金の受給要件と支給額の統一、適用拡大、団体要件の法定化は、制度の公平性と運用の透明性を高める改正となります。施行に向けては周知と手続き整備が求められます。






















