国立研究開発法人理化学研究所、国際度量衡局、島津製作所が、可搬型光周波数標準の役割を共同で検討する覚書に調印しました。将来の「秒」の再定義に不可欠となる光周波数標準同士の高精度比較を実現するため、可搬型装置の実用性や運用要件を評価する初期枠組みを整えます。CCTFの要件として示される相対誤差10⁻¹⁸レベルでの比較と、光周波数標準の協定世界時への一貫した寄与を満たすための取り組みです。本協力には産業技術総合研究所計量標準総合センターの関与が予定され、他国機関の参加にも開かれた体制が見込まれています。調印式は2026年5月12日に川崎市で開催されました。光格子時計や単一イオン光時計が持つ高安定・高精度の強みを、実運用に接続する狙いが示されています。
共同検討の狙い 可搬型OFSの潜在的役割と要件を明確化
今回の覚書は、光周波数標準に関する調査と技術検討を進めるための最初の枠組みを定めるものです。目的は、各国計量研究所が開発中の光周波数標準間を、相対誤差10⁻¹⁸の水準で信頼性高く比較するために、可搬型装置が果たせる潜在的役割を整理することです。さらに、光周波数標準が協定世界時へ一貫して寄与するための要件確認も射程に入ります。可搬型OFSの評価では、移動や設置に伴う環境変動や運用条件を踏まえた実用性の検証が重視されます。こうした検討は、将来の「秒」の再定義に向けた国際的ロードマップを前進させる重要な一歩です。関連する背景情報として、再定義の道筋を示す研究レビューが提示されています。
オープンな連携体制 国際比較とUTC寄与を支える基盤づくり
本検討には国際度量衡局、国立研究開発法人理化学研究所、島津製作所が参加し、産業技術総合研究所計量標準総合センターの関与も予定されています。枠組みはオープンであり、他国の計量研究所や関連機関が平等な条件で参加できる見込みです。国際的な整合性確保という観点から、複数機関が同一条件で比較と評価を進められる体制は不可欠です。可搬型装置は、実験室外での比較や機関間の直接比較を柔軟に実施する手段となります。これにより、長期安定運用と環境耐性の要件が具体化され、UTCへの安定寄与に必要な運用標準が整います。川崎市での調印を起点に、国際共同の技術検証が加速する見通しです。
背景技術 光格子時計と単一イオン光時計の特性と意義
光周波数標準は、原子やイオンの光遷移に基づく周波数参照を用いる計測技術で、現在のマイクロ波基準に比べ高い安定性と精度を実現します。代表的な方式には光格子時計と単一イオン光時計があり、極めて狭い線幅の遷移を用いることで周波数の決定精度を飛躍的に高めます。これにより、国際単位系の「秒」を光領域で定義する検討が現実味を帯びています。一方で、国際整合性を担保するためには、異なる研究所が構築した装置間の比較が不可欠です。比較の信頼性は、将来の定義改定の前提条件として重視されます。可搬型装置の検討は、比較プロトコルや計測手順の整備にも資する位置づけです。
可搬型OFSに求められる実用要件と評価の焦点
可搬型光周波数標準は、研究室から他拠点へ移動して比較に参加できる柔軟性が期待されています。評価の焦点には、環境変動に対するロバスト性、セットアップ時間、運用の再現性、長期安定度などが含まれます。これらの要件が整理されることで、国際比較における標準的な運用条件が具体化されます。また、可搬型の活用は、各国計量研究所が持つ周波数標準の相互接続性を高め、UTCへの継続的かつ一貫した寄与を支援します。装置の持ち運びや据え付けに伴う条件の定義は、再現性の高い比較を実現するための鍵となります。国際ロードマップの中で、現場実証に根差した基準化が進む意義は大きいといえます。
今後の展望 国際整合と「秒」再定義に向けた重要ステップ
今回の協力開始は、可搬型OFSの有効性を国際的な視点で検討し、比較実験の要件と運用指針を明確化する取り組みです。関係機関が平等に参加できる体制は、国際整合性の検証を広く進めるうえで有効です。CCTFが示す相対誤差10⁻¹⁸レベルでの比較やUTCへの一貫した寄与といった要件に対し、可搬型装置がどのように貢献できるかが議論されます。調印式が2026年5月12日に川崎市で行われたことを踏まえ、早期の技術検証が期待されます。マイクロ波基準から光領域への移行に向け、実装可能性と運用標準の確立が進むことが重要です。光周波数標準の国際的な信頼性向上は、次世代の時刻同期や計測インフラの高度化にもつながります。
詳しくは「国立研究開発法人理化学研究所」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部





















