「試験中はすべての電子機器の電源を切り、カバンにしまってください」――そんな日本の入試で長年守られてきた“常識”を打ち破る、革新的な選抜方式が注目を集めています。産業能率大学が導入する一般選抜「未来構想方式」は、試験当日にスマートフォンやノートPCなどのデジタルデバイスの持ち込み、およびインターネット検索を公式に許可しています。
知識がいつでも引き出せる時代において、大学は受験生の「何を知っているか」ではなく、「どう情報を集め、どう未来を構想するか」を評価しようとしています。このユニークな入試の仕組みと、デバイス持ち込みがもたらす教育評価の変革について解説します。
検索はOK、ただし生成AIはNG。リアルな「情報活用能力」を測る100分
本入試の中核となる「未来構想レポート(100分)」では、近未来のある地域の社会状況を記したシナリオを読み、課題とその解決策をA3用紙1枚程度にまとめます。
- デバイスは「1台のみ」持ち込み可能:スマートフォン、タブレットPC、ノートパソコン、電子辞書のいずれか1台をネットに接続し、情報検索の道具としてフル活用できます。
- 現代的なリテラシー制限:検索は自由ですが、SNSやメール等による外部との連絡、および「生成AIの使用」は厳格に禁止されています。
ただ事実をググるだけでなく、あふれる情報の中から正確なデータをフィルタリングし、AIに頼らず「自分の頭で因果関係を整理して提案を組み立てる」という、現代のビジネスや研究に直結するリアルな情報リテラシーが試されます。
知識は「足切り」でいい。共通テストの得点を不問にする3教科型の衝撃
デジタルデバイスの持ち込みを前提としているため、学力試験(大学入学共通テスト)の点数の扱い方も極めて大胆です。
- 3教科型は「250点以上」で一律フラット:共通テストの3教科合計(520点満点)が250点に達していれば、それ以上の高得点は合否に影響せず、「未来構想レポート」の出来栄えだけで判定されます。さらに、レポートが極めて優秀な場合は250点未満でも合格となる可能性があります。
- 5教科型は「国立大学並み」の学費減免:共通テスト5教科とレポートの総合判定となる5教科型では、合格すれば授業料が国立大学と同額(535,800円)に減免されるという強力なインセンティブが用意されています。
基礎的な学力は共通テストで最低限担保(足切り)できればよく、大学側が本当に求めているのは高得点ホルダーではなく、卓越した「構想力」を持つ人財であることが選考基準からも窺えます。
見解として、知識を詰め込む「暗記型」の勉強は、スマホと生成AIの普及によってその価値が劇的に変化しました。この「未来構想方式」は、現代社会と同じ『ネット環境が手元にある状態』を試験室に再現した上で、なお人間にしかできない「課題の発見と解決案の構築」を評価する、極めて合理的で時代に即した入試DXの先進事例と言えます。
詳しくは「産業能率大学」の公式入試情報ページをご確認ください。 レポート/DXマガジン編集部





















