市場変動リスクの高まりに対応するため、株式会社三井住友銀行と株式会社東芝が、量子技術由来の先端技術を活用した新たな株式指数を共同開発しました。名称は「SMBC/TOSHIBA 量子技術由来分散日本株式指数」と「SMBC/TOSHIBA 量子技術由来分散米国株式指数」で、略称は「SMBC/TOSHIBA 量子分散」です。両社は、相関の低い銘柄の厳選と大規模組合せ最適化を中核に据え、実運用を見据えた算出ルールを設計しています。指数算出は2015年年末を起算日としており、構成の見直しは年4回行われます。日次の指数計算と公表はS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが担います。今後は同指数に連動する投資信託やETFの提案活動を本格化させる計画です。
背景と狙い 市場不確実性に備える分散の再定義
株式投資への関心が広がる一方で、国際情勢の急変や各国の政策転換により、相場が突発的に大きく変動する局面が増えています。こうした先行きが読みにくい環境では、想定外のショックに備えた分散手法の見直しが求められています。新指数は、株式会社三井住友銀行のマーケット領域での知見と株式会社東芝の量子技術由来の先端技術を融合させた取り組みです。従来の方法では困難だった規模の組合せ最適化を用いることで、値動きの連動性が低い銘柄を幅広く組み合わせたポートフォリオの構築を可能にします。結果として、市場急変時にも分散効果が期待できる設計となっています。目的は、新たなリスク分散手法の提供を通じて、資産保全の選択肢を拡大することにあります。
指数の仕組み 対象市場と算出プロセスの全体像
対象は日本株式と米国株式で、既存の株式指数の採用銘柄をユニバースとして用います。株式会社東芝の量子技術由来最適化計算機である「シミュレーテッド分岐マシン」により、年4回の計算を実施して構成銘柄を選定します。各銘柄の構成比率は、各銘柄の過去の変動率を基に算出されます。指数は2015年年末を起算日として算出を開始しており、継続的なトラッキングが可能な枠組みが整えられています。日次の計算と公表はS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが担当し、株式分割や配当に関するコーポレートアクションの調整を含む運用オペレーションを行います。これにより、透明性の高いデータ配信と実務適合性を両立しています。
三つの特徴 低相関の厳選から実運用仕様まで
第一に、構成される全銘柄のペアが低相関となるよう最適化を行い、値動きの連動性が低い銘柄群の組み合わせでリスク分散を図ります。市場全体が急落する場面でも分散効果の発揮が期待されるよう設計されています。第二に、候補の組合せ数が膨大になる問題に対して、従来の計算機では困難だった計算を「シミュレーテッド分岐マシン」の計算能力で実行します。これにより、大規模ユニバースを対象にした組合せ最適化が現実解として成立します。第三に、実際のファンド運用を見据えた算出ルールを採用し、流動性の確保と定期リバランス時の取引コスト抑制などの実践的要件を反映しています。特許を共同出願中の独自ルールにより、先端技術の成果を投資家へ届ける実用的なポートフォリオを実現しています。いずれの特徴も、分散の質を高める設計思想として一貫しています。
役割分担と運用体制 技術と市場知見の協働
株式会社三井住友銀行は市場部門で培った金融工学の知見を活かし、算出ルールの策定など指数開発を主導しました。今後は運用会社への営業活動を通じて本指数を用いた分散投資の普及を進めます。株式会社東芝は本指数向けにカスタマイズした「シミュレーテッド分岐マシン」の技術を提供します。指数開発への参画に加えて、運用開始後の技術的な維持管理を担い、年4回のリバランス計算を担当します。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは、独立した指数ベンダーとして日次の計算と公表を行い、コーポレートアクションの調整を正確に処理します。三者の役割が明確に定義されており、指数の継続的な運用体制が確立されています。これにより、実務的な安定性とデータの信頼性が確保されています。
今後の展望 商品化に向けた提案と応用拡大
本指数の公表は取り組みのスタートとして位置づけられています。今後は、金融市場での広範な活用に向け、多様な形態での利用提案を本格化する予定です。第一歩として、運用会社に対して本指数に連動する投資信託やETFの組成に向けた提案を正式に開始します。先端の計算技術を用いた指数は、ファンドとして商品化されることで初めて投資家に分散投資の具体的な選択肢を提供できるという考えが示されています。さらに、株式会社三井住友銀行と株式会社東芝は、本指数を応用した新たな指数の創出にも取り組む方針を掲げています。量子技術や関連技術を金融分野へ応用する挑戦を継続し、実務で活用可能な技術と市場の架け橋を目指します。
技術の基礎知識 量子技術由来最適化計算機の位置づけ
量子コンピュータは量子重ね合わせと量子干渉により、多数の解候補を並行的に評価し、高い確率で解を導く仕組みです。量子技術由来の計算機は、量子の原理に由来する物理システムの時間的変化をシミュレーションし、サイバー空間で同様に高い確率で解を出力します。株式会社東芝は独自の量子分岐マシンの理論から演繹したアルゴリズムを古典計算機に高効率に実装し、「シミュレーテッド分岐マシン」を発明しました。この最適化計算機は大規模な組合せ最適化問題で高い性能を発揮します。東芝はこの技術を量子インスパイアード組合せ最適化ソリューション「SQBM+」として広く提供しています。指数の中核を担う技術の理解は、活用局面の設計や期待値の把握にも役立ちます。
詳しくは「株式会社三井住友銀行」「株式会社東芝」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















