DXマガジンは2023年9月6日、定例セミナーを開催しました。今回のテーマは「輝く女性が活躍する世界の新しい働き方 ~ライフワークインテグレーションで仕事も子育てもエンジョイ!~」。MIW Marketing and Consulting Group, Inc. President/CEOの岩瀬昌美氏をゲストに招き、米国で活躍する同氏が感じる日米の働き方の違い、とりわけ女性の仕事に対する姿勢や考え方について議論しました。
アフターコロナを迎え、従業員のこれからの働き方を模索する経営者は少なくありません。一方、若い世代を中心に多様な働き方が進む中、従業員の要望をどこまで認めるのか、どんな働き方を許容すべきかに悩む経営者も多いでしょう。
そこで今回のDXセミナーでは、これからの働き方をテーマに、仕事ができる人はどんな働き方を望んでいるのか、どんな姿勢で仕事に臨んでいるのかについて議論。
ゲストには、米国で活躍するMIW Marketing and Consulting Group, Inc. President/CEOの岩瀬昌美氏が登壇。米国での働き方や仕事に対する姿勢/考え方を参考に、日本での望ましい働き方について考察しました。さらに、女性ならではの視点で、女性として仕事にどう向き合うべきか、プライベートの考え方などにも言及。岩瀬氏が感じる日米での働き方の違いに食い込むとともに、日本人の望ましくない働き方や仕事の捉え方も掘り下げました。
仕事とプライベートを一体化し、自分らしい過ごし方に目を向けよ
セミナーでは岩瀬氏が現在に至るまでの経歴を紹介。同氏は大学卒業後、米カリフォルニア州立大学サンディエゴ校でMA修士号を取得。その後、三洋電機に就職します。「アメリカの大学院を卒業した女性で初めての総合職採用だった」(岩瀬氏)と言います。しかし、海外での業務を志望していたにも関わらず、「女性を海外に転勤なんて」という理由で思うように仕事をできないもどかしさを感じたと振り返ります。
その後は米カリフォルニア州立大学ロングビーチ校でMBAを取得。これを機に、米国でマルチカルチュアル最大手の広告代理店に入社し、シニアアカウントエグゼクティブまでキャリアを積み上げます。「当時、アメリカには産休制度がなかった。広告代理店に勤務しながら出産を経験したが、働きながら出産した初めてのケースだった」(岩瀬氏)と言います。さらに、大量リストラに見舞われた際も、「産後6週間で復帰した」(岩瀬氏)と、職をなくさないために必死に働いたと岩瀬氏は振り返ります。
その後は転職などを繰り返し、現在はMIW Marketing and Consulting Group, Inc. のPresident/CEOとして、商品のマーケティングなどに従事します。「MIWを起業し、TVで料理ショーの番組などを担当した。当時、米国では9.11の影響もあって大不況だった。主人はレイオフに遭い、長男は原因不明の病気に見舞われるなど、家庭も大変なときだった。そんなときにロスに移住し、ゼロから起業に踏み切った」(岩瀬氏)と言います。
セミナーで岩瀬氏は、元気に働き続けるための秘訣についても言及しました。7カ条と題し、次の7つの秘訣を提示しました。
1.プライベートと仕事は別 ライフワークバランス
2.二兎追うものは三兎を得る
3.転石 苔を生ぜず
4.ビジネス社会での成功の秘訣 外見は大切
5.目の前の仕事を好きになる
6.子育ての秘訣 量より質
7.子育ての秘訣 だます嘘はダメだが皆にとっていい嘘はついてもOK
例えば「1.」。岩瀬氏はライフワークバランスという言葉を自身の経験を踏まえてこう解釈します。「寝ているか食事しているかを除いた時間をほぼ仕事に充てている。時間を仕事とプライベートに無理矢理分けようとする考え方は現実的ではない。大切なのは、働いている時間もそうでない時間も自分らしいかどうか。米国ではこうした考え方が根付いている。自分を起点に24時間をどう過ごすか。中には子育ての合間に仕事をしたり勉強したりする人もいるでしょう。厳密に区分けせず、自分らしい時間の過ごす方を考えることが大切ではないか」(岩瀬氏)と提言します。さらに、「Life Work Balanceではなく、Life Work Integrationの方が適切な考え方だ。仕事とプライベートを一体化した時間の過ごし方を模索すべきではないか」と提言しました。
「2.」について、一般論として女性は結婚したら主婦業に専念する、出産したら子育てに専念するといった考え方があるが、必ずしもそうではないと岩瀬氏は続けます。「キャリアだって結婚だって子育てだって、その気になれば同時にこなせる。どれか1つを選ぶなんて考え方を持つ必要はない」(岩瀬氏)と断言します。「例えば米国の場合、放課後の時間帯に12歳以下の子供を自宅で一人でいさせてはならないと決まっている。見守る人がいなければ、学童などに預けることが義務付けられている。そのため、仕事をかかえる多くの親は、17時過ぎになると急いで子供を迎えにいく。4時間かかる仕事を2時間で必死で終わらそうとする。こうしてやりくりするのが当たり前だ。残業ばかりで子育てが難しいと否定的にならず、ぜひ頑張って乗り越えてほしい」(岩瀬氏)と視聴者に訴えました。
「3.」について岩瀬氏は、「自分が変わろうという意識があるかどうかを問わず、チャンスがあれば動いていかなければならない。チャンスがあるとき、進もうか留まるか迷っているなら、進んだあとに後悔してほしい」と指摘。岩瀬氏自身、米国内で引越しを繰り返した経験から、「踏みとどまらずに突き進んでいってほしい」(岩瀬氏)とチャンレジすべきと主張しました。