近年、働き方改革や環境への配慮が求められるなか、物流業界は重大な転換期を迎えています。この中で、センコー株式会社を中心とした旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウスの3社が「住宅物流4社協議会」を設立し、共同輸送を通じた効率化と環境負荷の軽減を目指しています。
物流業界では、2024年4月に施行された働き方改革関連法においてトラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」を受け、業界全体が労働力不足に直面し、安定的な輸送能力の確保が急務となっています。また、環境省は2030年度において、二酸化炭素排出量を2013年度比で35%削減することを目指しています。このような社会的背景を受けて、センコーと住宅メーカーの3社は集まり、物流効率化と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを開始しました。
住宅物流4社協議会では、物流拠点や車両の共同利用、部材の共同購入・共同輸送、車両大型化と中継拠点の活用、環境に優しい配送のためのEV車両やリニューアブルディーゼル車の導入など、4つの施策を実施しています。これにより、宅配送送時の繁閑差を補完し、効率的な物流体制を構築します。共同配送により積載効率を向上させ、トラック台数の削減を図ります。
これらの施策を通じて、2025年までにドライバーの運転時間を約1万7,000時間、トラック2,160台分に相当する時間の削減を実現することが見込まれています。さらに、輸送CO2排出量を約500トン削減することができると予測されています。これは、スギの木約35,800本分のCO2吸収効果に相当します。「住宅物流4社協議会」では、今後も協議を重ね、物流業界の社会課題解決に向けた取り組みを続けて行く予定です。法律を遵守しつつ、輸送能力の確保やドライバーの労働時間の削減、環境貢献に向けた新たな施策を検討し続ける姿勢が重要です。センコー、旭化成ホームズ、積水化学工業、積水ハウスの取り組みは、持続可能な社会の構築への大きな一歩となり、今後の進展が期待されます。
レポート/DXマガジン編集部香田