特別対談

    2021.10.06

    【特別対談:井上純×鈴木康弘】写真や動画を使ったビジュアルマーケティングを推進、ツール導入契機に顧客との関係深化や全社を巻き込んだ施策の推進体制構築を促す

    写真や動画といったビジュアルコンテンツのマーケティング施策活用を提案するvisumo。同社が全面に打ち出す「ビジュアルマーケティング」とは。その狙いと必要性、ビジュアルマーケティング施策を展開するメリットについて、visumo 取締役 井上純氏に聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

    魅力的な写真・動画をマーケティング施策に活かす

    鈴木:御社は「ビジュアルマーケティング」という言葉を発信していますね。この言葉の意味、発信する狙いを教えてください。

    井上:「ビジュアルマーケティング」は日本ではあまり馴染みがないものの、海外ではより確立されたマーケティング施策と位置付けられています。ブランディングを実施する際に写真や動画を活用するように、消費者への訴求手段にビジュアルを駆使するのがビジュアルマーケティングです。デジタル化が加速する中、ビジュアルマーケティングの重要性は以前より増しています。

     背景の1つにモバイルファーストが挙げられます。若者を中心に多くの消費者が、スマートフォンを常に見るようになりました。しかしその大半は「ながらスマホ」。私も含めて電車での移動中や食事中など、他のことをしながらスマートフォンを眺めるという中毒的な習慣が増えています。このとき、集中してテキストを「読む」といった感覚にはならず、ビジュアル的に面白かったり興味を惹いたりするものから情報収集するのが一般的です。であるなら、こうした消費者向けにビジュアルを徹底的に使い倒すべき。ビジュアルマーケティングが求められる要因には、こんな変化があると考えます。
    写真:visumo 取締役 井上純氏

    写真:visumo 取締役 井上純氏

    鈴木:情報過多の時代だからこそ、必要な情報に効率よくたどり着かなければならない。このときの手段としてビジュアルは確かに効果的ですよね。

    井上:最近はInstagramやTikTokのように画像や動画主体のSNSへの人気が増しています。これらの写真や動画を見て、気に入った商品を探す、購入するといった消費行動も珍しくありません。こうした行動変化も、ビジュアルマーケティングが重要視されるようになった理由の1つですね。

    鈴木:SNSで目にする写真や動画はどれもクオリティが高い。こうしたビジュアルを見れば、皆関心を寄せますよね。

    井上:確かにSNSでは、きれいな写真や動画が多数投稿されていますよね。しかし実は、これが企業のビジュアルマーケティングを難しくする要因でもあるんです。まさに流行りの多様性という言葉が当てはまるのですが、今や消費者が自身のライフスタイルに合った写真や動画を簡単に探せる時代です。例えば、同じ衣類の商品を着用したビジュアルでも、釣りやキャンプ、ゴルフといったシーンごとにクオリティの高いものを見つけて参考にできます。企業がビジュアルマーケティングを成功させるなら、デジタルコンテンツを絡めた施策に中で購買行動などを促す魅力的な写真や動画に多様性を持たせることが欠かせないのです。とはいえ、企業が時間やコストをかけて用意しても網羅しきれず、質、量ともSNSの投稿写真・動画には及ばない。目の肥えた消費者に対し、訴求力ある写真や動画を見せられるか。企業はこの課題をクリアしなければビジュアルマーケティング施策の成功は難しいと思いますね。

    SNSを活用して訴求力ある写真・動画を用意

    鈴木:企業は、消費者の関心を惹く写真や動画を効率よく用意できない。そこで御社は、こうした企業の支援に乗り出している。企業のビジュアルマーケティングをサポートするため、御社は具体的にどんな支援をしているのでしょうか。

    井上:企業の目的や狙いに応じた各種ツールを用意し、ビジュアルマーケティングを具現化できるようにしています。例えば「インスタ連携機能」は、自社のECサイトなどにInstagramの写真を活用できるようにするSaaSです。一般のInstagramユーザーが投稿した写真をECサイトの商品案内ページに表示させます。家具・インテリアを扱うECサイトなら、自社商品の家具を使った部屋のコーディネート写真を商品ページに掲載することで、家具の配置イメージやコーディネートのアイデアを訴求できます。Instagramユーザーが投稿した写真を使うため、自社で多数の写真を撮影する手間も省けます。「インスタ連携機能」は現在までに400社超の企業で導入されています。

    鈴木:SNSの投稿写真を商品紹介に活用する。ユニークなアイデアですね。しかし、Instagramの投稿写真をECサイトに掲載して問題ないのでしょうか。企業がInstagramの写真を利用するにはユーザーへの許諾が必要になるのでしょうか。

    井上:主なSNSでは、ユーザーが投稿した写真や動画はシェアされるものと利用規約に明記しています。そのため、原則として投稿されている写真や動画をECサイトなどで利用するのは問題ありません。とはいえ、撮影した写真が勝手に使われることを嫌がるユーザーもいるでしょう。そこで「インスタ連携機能」を利用するすべての企業がユーザーに配慮し、写真の利用許諾を得てから掲載しています。写真をECサイトなどに掲載してよいかをユーザーに尋ねると、ほぼ100%の確率で「ぜひ使ってください」と言ってくれるそうです。ユーザーも自分の写真が企業のECサイトなどに使われることで承認欲求がさらに満たされ、うれしいと思ってくれているようです。

    鈴木:企業にとっては、使用許諾のお願いがユーザーとのコミュニケーションを深めるきっかけにもなりますね。

    井上:その通りです。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、企業はオフラインの顧客とのタッチポイントを失いつつあります。しかし、写真の掲載を許可してもらえないかというやり取りが、自社商品を購入した顧客との新たなタッチポイントとなり、自社のファンづくりの施策にもなる。当社はここまで想定していませんでしたが、「インスタ連携機能」導入にはこんなメリットも見込めるんです。

    鈴木:「インスタ連携機能」はビジュアルマーケティング支援ツールである一方、顧客との関係を深化するリレーションマネジメントツールという側面を併せ持っていると言えますね。

    井上:「インスタ連携機能」は、ユーザーと会話できるチャット機能を備えています。この機能を使って写真の許諾を得ることが可能です。会話をキャッチボールできることから、自社商品の気に入った点をユーザーに聞いたり、アンケートに協力してもらったりといったヒアリングを実施することもできます。SNSのようなカジュアルな双方向コミュニケーションが可能なことから、顧客に自社商品をもっと好きになってもらえるきっかけを与えられると思います。実際にユーザーからの声を収集し、次回のマーケティング施策や商品開発に役立てたという事例もあります。

    鈴木:いろいろなビジュアルマーケティング支援ツールを用意しているとのこと。「インスタ連携機能」以外には、どんなツールを提供しているのでしょうか。

    井上:ECサイトなどに動画を活用できるようにする「動画コマース機能」もあります。YouTubeやIGTV向けに撮影した商品紹介動画などを最適なサイズに圧縮し、自社のECサイトなどでストリーミング配信できるようにします。例えば生配信用に使ったライブ動画を再利用しないのはもったいない。「動画コマース機能」を使えば、動画を商品訴求などに利用しやすくなるし、ライブ配信を見逃した人にもアピールできる。動画コンテンツの活用を模索する企業のビジュアルマーケティング施策の効果を最大化できると考えます。

     消費者の動画視聴体験をより高めるために機能強化していますが、「目次・チャプター」と呼ぶ機能を備えているのが特徴です。これは、動画を任意の場所から再生できるようにする機能です。動画を最初から再生せず、見せたい場所にスキップして再生できます。例えば、動画の中で商品説明シーンだけ掻い摘んで見るといったことが可能です。動画閲覧中に他ページへ遷移しても、簡単に動画視聴に戻れる「ピクチャーinピクチャー」などの機能も備えます。

     そのほか、社内スタッフやアンバサダーが撮影した写真や動画、商品のポイントとなる接客コメントをECサイトに簡単に掲載する「スマホ投稿機能」もあります。ECサイト担当者以外のスタッフが商品紹介してくれるわけで、社内外のリソースを活用しやすくし、ECサイトの商品紹介を容易に拡充できるといったメリットがあります。

    鈴木:ECサイトでは商品の魅力や使い方、価値を効果的に訴求しなければならない。その意味でインパクトある写真や動画などを容易に使えるようにするツールは便利ですね。私は以前、ECサイトの構築・運用に関わった経験があるが、その当時にこれらのツールがあったら、即導入していたと思いますね(笑)。

    井上:ありがとうございます。ECサイトでは売上増加はもとより、リピーター率向上、一人あたりの売上増加、サイト回遊率増加など、さまざまな目的に応じた施策を実施します。当社のビジュアルマーケティング支援ツールは、これらの目的を達成するのに向きます。これからビジュアルマーケティングに取り組もうとする企業はもちろん、ECサイトの具体的な施策を検討できない企業の新たな一手になると自負しています。

    鈴木:Webサイトの効果を最大化することが、自社のブランドイメージ向上や商品購入に直結する。にもかかわらず、Webサイトの運営を限られたスタッフに任せたり、他業務との兼務で運用したりするケースは少なくない。御社のツールは、ECサイトを始めとするWebサイトの運用を全社で取り組めるようにするメリットもあると思いますね。

    井上:他部署のスタッフと連携してECサイトやWebサイトを強化できるのがツールの強みですね。デジタルマーケティング施策においては、全社を巻き込めるかどうかが重要です。当社のツールは、デジタルマーケティングを全社施策に昇華させるための「ハブ」としての機能を果たせると考えます。

    鈴木:御社のツールを使い、ECサイトで商品が売れるようにするには、どんな写真、説明文を掲載するのが望ましいのかを各自が考えるようになる。その意味では社員教育を促すという側面もありますね。

    井上:他のスタッフがどんな写真を投稿しているのか、どんな説明文を書いているのかを調べ、自分の写真や説明文にフィードバックする。こうした取り組みを繰り返し、蓄積することで、写真や説明文のクオリティを高められます。ECサイトの商品案内ページを拡充するメリットを見込めるほか、社員が商品の訴求ポイントを自主的に学ぶようになる。社員一人ひとりが商品知識を深めるきっかけにもなりますね。また、ECサイトに掲載される商品案内ページは、自社にとってナレッジマネジメントの役割も果たします。再利用性の高い商品情報を蓄積するといった用途にも向きます。

    部署やスキルに関係なく使えるツールづくりを目指す

    鈴木:日本企業のビジュアルマーケティングは今度、どう変わっていくと思いますか。

    井上:日本は労働人口減少により、企業は業務の効率性や生産性を徹底的に追い求めることになるでしょう。ビジュアルマーケティング領域も同様です。デザイナーやエンジニアといった専任者不在でも効果的な施策を打てるかどうかが求められるでしょう。

     一方、当社のツールは社内外のリソースを効率よく活用することに主眼を置いている。今後を見据えたとき、企業から「ツールさえ使えば専任者不在でも効果的なマーケティング施策を打てる」と思わるようになりたい。ならなければならないと考えます。ECサイトの容易な運用、施策推進の手段として当社のツールが有効に機能すればうれしいですね。

    鈴木:システムの構築や運用はエンジニアが担当、といった一部の人が特定業務に関わる時代は終わりを迎えるかもしれませんね。ツールが使いやすくなれば、スキルや職種に関係なく誰でも使えるようになる。アイデアは業務部門が、システム実装はIT部門がなどの垣根もなくなるかもしれない。そんな時代に向け、ツールが変化していくといいですね。

    井上:誰でも直感的に使えるツールづくりを徹底したいですね。新機能を顧客に案内すると、「すぐ追加してほしい」と言われることが増えています。こうした声を大事にし、役立つ機能を実装していきたいと思います。こうした地道な取り組みがツールの利便性を高め、部署やスキルに関係なく使えるツールへと昇華させるのかもしれません。当社のビジュアルマーケティング支援の取り組みは道半ばではありますが、これからの企業のマーケティング活動の一翼を担えるよう取り組んでいきます。

    鈴木:心強いお言葉。今後のビジュアルマーケティング領域の動き、興味深く見ていきたいと思います。本日はありがとうございました。

    井上:ありがとうございました。
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