生成AIの業務活用率が急速に上昇しています。総務省の調査によれば、2024年時点で国内企業のAI活用率は約46%に達し、前年比で10ポイント以上増加しました。ツールが増えるほど、「自分の仕事はどうなるのか」という問いも、よりリアルになっています。
不安は、むしろ「仕事ができる人」ほど強い
議事録の自動作成、メールの下書き、調査レポートの要約——かつて数時間かかっていた作業が、AIによって数分で完了する時代になりました。こうした変化は「便利になった」という話である一方で、「自分の仕事の価値はどこにあるのか」という問いを、現場の多くの人が抱えるようになっています。
特徴的なのは、AIへの不安が「不慣れな人」より「仕事に自覚のある人」に強く出る傾向があることです。自分の業務を深く理解しているからこそ、「この部分はAIで代替できるのでは」という問いが、解像度高く迫ってきます。
DXマガジンの鈴木は、AIトランスフォーメーションを論じたコラムの中でこう書いています。「AIが担える仕事はAIに任せることで、人間はより本質的な仕事——創造、共感、哲学的な問いかけ——に集中できるようになる。人間固有の能力の価値が、むしろAIトランスフォーメーションによって高まる」と。では実際の現場では、この問いはどのように起きているのでしょうか。
「取られる仕事は、取られた方がいい」
先日、社内のある若手メンバーが、打ち合わせ後に社長(鈴木)へ直接こう聞きました。「私の仕事、AIに取られますか?」
その場に同席していた私は、内心どんな答えが返ってくるか緊張していました。「大丈夫だよ」と安心させるのか、「危機感を持て」と発破をかけるのか——そのどちらかだと思っていました。
鈴木の答えは、予想と違いました。
「取られる仕事は、取られた方がいい」
一瞬、場が静まりました。続けてこう言いました。「AIができることをAIに任せれば、きみはより一層人間にしかできない仕事に集中できる。問題は、その空いた時間で何をするかを、自分で考えられるかどうかだ」
責めているわけでも、励ましているわけでもありません。ただ静かに、問いを返してきました。不安を消す言葉ではありませんでしたが、私には妙に腑に落ちました。あの瞬間、若手メンバーの表情が変わったのを今でも覚えています。
AIが「奪う」のではなく、人が「問われる」
「取られる仕事は、取られた方がいい」という言葉は、一見突き放しているように聞こえます。でも本質は逆だと思います。AIに仕事を渡すことを怖がっているうちは、「自分にしかできないこと」を考える機会を先送りにしているだけです。
鈴木がコラムで書いた「人間固有の能力の価値が高まる」という言葉は、ただの励ましではありません。人がAIに得意な作業を任せたとき、初めて「では自分は何者か」という問いと、本気で向き合えるということだと私は解釈しています。
その問いを避けたまま新しいツールを使い続けても、不安の根っこは消えません。
あなたは、「空いた時間」で何をしますか
「私の仕事、AIに取られますか?」という問いへの答えは、ツールの進化ではなく、自分自身の中にあります。AIに任せられる仕事は、どんどん任せていいと思います。大切なのはその先です。空いた時間に何をするかを、自分の言葉で語れるかどうか。それが今、一人ひとりに問われていることではないでしょうか。
もし今まで考えたことがなければ、ぜひ一度、チームで話し合ってみてください。「AIに渡せる仕事」と「自分たちにしかできない仕事」を分けてみるだけで、見える景色が変わってくるはずです。
レポート/DXマガジン編集部 茂木





















