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コラム

「会社を作り直す」で競争のルールを変える 「AIトランスフォーメーション」【デジタル変革の全体地図 第5回】

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変革の最終フェーズ、 第4フェーズ。AIトランスフォーメーション(AX)の本質は「会社を作り直すこと」です。AI前提で企業そのものを再設計し、意思決定にAIが入り、組織の役割が変わり、人の仕事が再定義される。その結果として「競争のルール自体を変える」ことが目的です。これは前の3フェーズとは次元が異なる変革です。

世界平均取組率が5〜10%未満という数字は、AIトランスフォーメーションがいかに新しいフロンティアであるかを示しています。言い換えれば、今このフェーズに真剣に取り組むことは、圧倒的な先行者優位を得るチャンスです。まだほとんどの企業が到達していない領域に踏み込むことで、競合が追いつけない組織能力を築けます。

「意思決定にAIが入る」とは、単にAIの分析結果を参考にするという話ではありません。AIが膨大なデータからリアルタイムに最適解を導き出し、組織全体の判断のスピードと質を根本から変えることです。経営、営業、顧客対応のすべてにAIが組み込まれることで、これまで人間の処理能力の限界で実現できなかった意思決定が可能になります。

「人の仕事が再定義される」という変化は、多くの方に不安をもたらします。しかし私の見方は違います。AIが担える仕事はAIに任せることで、人間はより本質的な仕事——創造、共感、哲学的な問いかけ——に集中できるようになります。「本気でぶつかる力」「人を動かす力」という人間固有の能力の価値が、むしろAIトランスフォーメーションによって高まります。

AIトランスフォーメーションを推進するうえで、経営者に求められる「AIリテラシー」は欠かせません。AIのエンジニアになる必要はありませんが、AIが何をできて何をできないかを理解し、自社のビジネスとどう結びつけるかを判断できる力は必須です。「量が質をつくる」という私の信念はここでも有効で、多くのAIツールを自ら試し、失敗し、その積み重ねで本物の理解が得られます。

「地獄は人を育てる」という私の経験が示すように、困難と失敗を乗り越えた組織だけが本物のAIトランスフォーメーションを手に入れます。取組率5〜10%未満の今だからこそ、 第4フェーズのAXへの挑戦は最大のチャンスです。「思考を積み重ねる」覚悟を持ち、AIと共に会社を作り直す旅を始めてください。競争のルールを変える企業になるための時間は、今この瞬間から始まっています。  AX推進において「組織の役割設計の見直し」は特に重要なテーマです。AIが担える業務が増えるほど、人間が担う仕事の性質が変わります。AIとの役割分担を経営者が意図的に設計することで、組織全体の能力を最大化できます。「組織の役割が変わる」という変化を、経営者が主体的に設計することが、AIトランスフォーメーションを「混乱」ではなく「進化」にするための鍵です。

会社を作り直す覚悟を持って、 第4フェーズへの挑戦を始めてください。その先に、競争のルールを変える企業の姿があります。 第4フェーズは、経営者の覚悟が最も問われるフェーズです。AIと共に会社を作り直す決意を持ち、競争のルール自体を変える企業を目指して、今日から行動を起こしてください。 AI前提で企業を再設計することは、会社の未来への最大の投資です。今日からその一歩を踏み出すことが、5〜10%未満の先行者グループに入る道です。

【デジタル変革の全体地図 第5回】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。

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