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言ったことを成し遂げて信頼をつかみ取れ!

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論語の「五徳」の1つである「信」。「信」という言葉には、仕事に取り組む上で大切な考えが含まれています。なぜ仕事で「信」が求められるのか。仕事で成果を出すために「信」からどんな教えを学ぶべきか。「五徳」の「信」の本質を考えます。【週刊SUZUKI #55】

人として正しい振る舞いや望ましい考え方を表す「五徳」。その1つが、信頼を意味する「信」です。

仕事に取り組むとき、「信」の教えと向き合うことが大切です。具体的には、周囲から信頼される存在を目指します。模範となる考え方を示して行動し、周囲からの信頼を得られるようにします。

信頼されるために必要なのが、「言ったことをやる(言行一致)」です。発言したことを必ず成し遂げる実行力や責任感が、信頼されるためには不可欠です。たとえ一度でも言いっ放しにしたり無責任な行動をしたりすれば、せっかく築いた信頼が失墜します。それだけの覚悟を持ち、信頼を地道に確実に築き上げなければなりません。

「信」の大切さを実感したエピソードがあります。私はソフトバンク在職中、本を扱うECサイトを運営する会社を起業しました。起業直前、ソフトバンクの取締役会で売上目標を問われたとき、何の根拠もなく「5年後に売上を100億円にする」と発言してしまったのです。しかしそこから発言したことを完遂すべく、何度も壁を乗り越え、睡眠時間を削り努力をしました。その結果、「5年100億円」を達成しました。

その後、当時ソフトバンクの常務だったSBIホールディングスの社長の北尾吉孝さんに「会いたい」と連絡をいただいたのです。「どんな要件だろう」と思いつつ社長室を訪れると、部屋に入った途端、北尾さんから「私は君を信じる」と言われました。さらには「君は5年前に『100億円』と言った。その通りになったから、君を信じる」とも言われました。まさに「言行一致」を褒めてくださったのです。当時、震えるほど感動し、今も北尾さんの言葉が私の胸に刻まれています。

ビジネスでも「信用」は何より大切です。顧客や取引先とは信用のもとに仕事が成り立っている面もあります。上司や先輩が信用しているから、責任ある仕事を振ってくることもあります。それだけ「信」の意味は重く、強い責任感を感じさせてくれるのです。今後は些細なことでも約束を守ってください。どんなスケジュールも厳守してください。相手を否定せず、受け入れる姿勢を示してください。こうした1つひとつの所作や態度が、信頼を築くのです。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任

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