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インタビュー

「なぜ変わる必要がある?」から社員のAI活用率85%へ。Daigasグループ2万人を動かした3つの仕掛けとは?

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ガス・電力の自由化やカーボンニュートラルによって、エネルギー業界の前提は大きく変わりました。Daigasグループは従来から事業の幅を広げてきましたが、変化が常態化する時代の中で、DXで目指したのは、デジタルツールの導入ではなく「変わり続けられる会社」です。同グループは2023年から、働き方や仕事の進め方を変える「Daigas X(トランスフォーメーション)」を本格的に展開。約2万人を巻き込んだ取り組みは、「日本DX大賞2026」の業務変革部門で奨励賞を受賞しました。

しかし、その歩みは最初から順調だったわけではありません。「なぜ変わる必要があるのか」。現場からは、そんな率直な声も上がったといいます。今回は、大阪ガス DX企画部 戦略企画チーム課長の出光啓祐氏に、約2万人を巻き込んだ変革の舞台裏を伺いました。

120年企業を動かした「いちびり精神」

――Daigasグループが大切にしてきた文化を教えてください。

出光氏:Daigasグループを象徴する言葉の一つが「いちびり精神」です。関西弁で、いい意味で面白がり、新しいことに果敢に挑戦する。ガス燈の普及もLNGの輸入も、前例のないところから切り開いてきました。そういうDNAが会社に刻まれていると思います。

――なぜ「Daigas X」に取り組んだのでしょうか。

出光氏:事業環境が変わる中で、ビジネスを変えなければいけない。ただ、従業員の働き方や仕事の進め方が変わらなければ、ビジネスも変えられません。そこでDXの「X」、トランスフォーメーションを強調し、まず組織文化から変えていこうと考えました。

最初に行ったのは、2030年の働き方を言葉にすることです。従業員自身が主役となる未来を小説に書き、ショート動画やポスターでも発信しました。「学び続け、成長できる環境」と「スピード感をもって探索・深化できる環境」が大きな柱になりました。

写真:Daigasグループ社員が働いている様子

「うちの現場は違う」。2万人を動かしたのは、指示ではなく対話だった

――社員の皆さんは、最初から前向きだったのでしょうか。

出光氏:全社共通の方針を出すと、「うちの組織は違う」「現場と本社は違う」「そもそも、なぜ変わらないといけないのか」という反応があり、トップダウンだけではうまくいかない。各組織がすでに取り組んでいることと、Daigas Xとの接点を一緒に探す形へ変えました。一度の説明ではなく、何度も対話を重ねました。すると徐々に、「次はこうやりませんか」と一緒に考える仲間へ変わっていったんです。

各チームでも毎年、目指す姿や課題、使えそうなデジタルツールを話し合っています。全社の言葉をそのまま押し付けず、自分たちの言葉に翻訳することを大切にしました。

埋もれた挑戦者が社内のヒーローに。780件が集まった「D-1グランプリ」

――全社へ広げるために、どのような工夫をしましたか。

出光氏:一つの事務局だけで2万人を動かすのは難しいため、各組織に仲間をつくりました。現在は200人以上の推進役が、会社の方針を自分たちの組織に合う言葉へ翻訳し、現場で旗を振っています。

もう一つが、業務変革やAI活用の取り組みを表彰する社内イベント「DaigasグループD-1グランプリ」です。初回から想定を大きく上回る780件以上の応募が集まりました。それまで見えていなかった現場の“いちびり”たちが可視化され、社内のヒーローとして称賛される。そこで一気に熱量が高まりました。当初5割を下回っていた変革活動の実践率は、現在では8割近くまで上昇しています。AIを使う従業員も、現場を含めて約85%まで広がりました。

AI活用率85%を支えた伴走支援と、AI駆動開発基盤「WAAAP」


――どのようにAI活用を浸透させたのでしょうか。

出光氏:社内から集めた400件超の活用アイデアに1件1件伴走支援しました。また、伴走した知見を社内に共有する「AI活用ポータル」を、社内で内製しました。もともと、内製でAI駆動開発基盤「WAAAP」を整備していたため、5か月で320件もの記事を発信したり、スピーディーに改善し続け、社内ポータルながら月間約5万PVまで利用が広がっています。

AIはあくまで道具。最初に考えるのは「何をしたいか」

――AI時代に、人にしか生み出せない価値は何でしょうか。

出光氏:AIはあくまで道具なので、「何をしたいか」がなければ活きてきません。その思いをツールが実現するという関係です。「AIを導入するぞ」から始めても、なかなかうまくいかない。まず目指す姿は何かを、各チームで議論することが大切です。

これからは業務効率化を土台にしながら、AI活用の幅をさらに広げ、従業員やお客さまに新しい価値を届けられる取組に挑戦したいです。変革を進めるとき、各社の中には独自の文化資産が眠っていると思います。Daigasグループにとっては「いちびり精神」でした。それをDXやAIで呼び起こすことができれば、その会社らしい変革につながるのではないでしょうか。

Daigasグループ
https://www.daigasgroup.com/

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