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インタビュー

DXは目的ではない!妄想力を養ってゴールと戦略を明確にせよ【日本オラクル 渋谷由貴×デジタルシフトウェーブ 鈴木康弘 特別対談2】

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渋谷:ゴールを明確にすることによって、初めて戦略を立案しやすくなります。企業であれば、経営戦略や事業戦略を検討・策定しているかと思いますが、DXも同様に、進め方や目指すゴールを整理し、戦略として打ち出すことが、DX推進の第一歩になると考えます。

鈴木:企業の経営者は、もっと「想像」を膨らましてほしいですね。「自社をどうしたいのか」や「どんな働き方をしたいのか」などを妄想し、数年先のあるべき姿を社員やステークホルダーに説明できるようにすべきです。このとき、自社を取り巻く社会情勢や国の政情、テクノロジーの台頭などを踏まえて妄想すると、より具体的なあるべき姿を描けるのではないかと思います。こうして決めたゴールにたどり着くためにはどうすべきか、何をしたらよいのかを考えるのが「戦略」となるのです。現在と未来のギャップを埋める取り組みが「戦略」とも言えますね。

豊かな想像力が戦略立案には不可欠

鈴木:企業の中にはDX専門の推進室や推進チームを立ち上げ、本格的に取り組み出しているケースが散見されます。経営企画部門がDXを主導するケースも少なくありません。しかし、こうした部署の多くが、DXをゴールに導くための戦略を立てられずにいます。

渋谷:ゴール達成に必要なプロセスやタスクを段階的に整理し、逆算して考えることが、まだ十分にできていない企業もあるように思います。目標に対して「いつまでに何を行うか」を逆算することや、プロセスやタスクを洗い出しても、進捗や成果を確認するベンチマークを設定することが難しい場合もあり、こうした点が戦略の形骸化につながってしまうこともあるかもしれません。

鈴木:想像する機会がないと戦略さえ描けなくなると思います。遡れば学校に通っていたころから、想像力を養う教育を受けていないのではないでしょうか。もちろん社会人として会社で働き出しても、想像力を働かせる機会はほぼないのではないでしょうか。想像力が常に求められる業務に従事することが、ゴールを描いたり戦略を練ったりするには必要だと考えます。

例えば起業した人は、想像力を働かせて事業を模索したり、戦略を実践したりしているはずです。ゼロの常態からアイデアをもとに事業を考えるって、想像力なしにはできないですよね。その事業でどう収益を上げるかといった戦略を練るのも同様です。起業した人は、1年後にはこれだけ成長し、2年後にはこれだけ資金調達し、3年後にはこれだけの利益を得るなどの計画を必ず考えているはずです。これこそゴールであり、戦略ではないでしょうか。

渋谷:確かに、起業したばかりのスタートアップ企業の経営者の皆さんは、とても想像力豊かでいらっしゃいます。大きな夢を語ってくださる方も多く、その熱意にはいつも刺激を受けます。さらに、財務状況や経営成績をまとめた決算報告書を作成されているため、これまでの過程や結果を振り返り、「この戦略はこうすればもっと良くなった」といった気づきを得ることもできるのだと思います。

鈴木:例えば、1億円の売上を将来5億円にしたいというゴールを定めたとします。ゴールを達成させるためには、ITにどれだけ投資すべきか、開発や営業にどれだけのコストを見込むのかなどを考えられるようになりますよね。これこそが戦略です。ゴールを定めなければ戦略を描けないということも理解できるかと思います。

渋谷:0→1(ゼロイチ)の経験が不足していることも、戦略を練るうえで影響しているのかもしれません。私自身、以前商社に勤めていたとき、海外のセキュリティ製品を国内に広めるため、市場づくりから取り組んだ経験があります。当時は社会人2年目で、手探りの連続でした。その後、他の勤務先や外資系企業では、同じような『0→1』の経験に触れる機会はあまりありませんでした。こうした経験を重ねることで、ゴールを描くだけでなく、戦略の立案やベンチマークの設定まで、より具体的に考えられるようになるのではないかと感じています。社会人経験が長ければ自然と戦略を立てられる、というわけではないように思います。

また、へこたれない気持ちも大切だと思います。『0→1』の段階では失敗というものはそもそも存在しません。ですから、何度でもくじけずに挑戦し、試行錯誤を重ねることが必要です。戦略の立案も一度で終わるものではなく、状況に応じて見直し、少しずつ整えていくものです。くじけず、少しずつ試行錯誤を重ねながら戦略を形にしていく姿勢が、とても大切だと感じています。

鈴木:企業の新入社員研修で「0→1」って教えないですよね。むしろ事業を拡大する「1→10」の方法や考え方ばかり教えている気がします。これも学校教育に起因していると思います。学校では、必ず答えがあることを教えていますよね。答えがないと採点できなくなりますから。現在の学校教育は以前と比べて変わりつつありますが、現在社会人として働いている人の多くが、答えのない問いと向き合う経験を積んでこなかったわけです。これでは「0→1」のアイデアを生み出せないし、戦略だって練ることはできません。

渋谷:『失敗してはいけない』という教育を受けてきたことも、『0→1』に挑戦したくない気持ちを育んでしまった面があるように思います。DXを進めるには、失敗を受け入れる風土が必要ですし、戦略づくりにおいても、経営者が『失敗してもいいんだよ』と社員に示す姿勢が大切なのではないでしょうか。何度も試行錯誤を繰り返しながら戦略を立て続けることでこそ、自社の未来の姿というゴールに少しずつ近づいていけるのだと思います。

鈴木:自社の未来を描けなかったり、自社がどうあるべきかイメージできなかったりという経営者の皆さんは、自社のあるべき姿を絵で示すことをおすすめします。もちろん言葉でも構いません。まずは具体的に表現し、その絵を社員と共有することに取り組むべきです。自社のあるべき姿、つまりゴールを全社で共有します。このとき大切なのは、ゴールとともに売上などの数値目標も検討することです。ゴールの目的と目標を揃えた上で、具体的な戦略に落とし込むようにします。双方が揃わなければ戦略は立てられません。

渋谷:理想的なゴールを描くだけでは、ゴールに向けた取り組みは加速しないということですね。

鈴木:その通りです。ゴールという目的だけでは漠然としすぎてしまうし、数値目標だけで人は頑張り続けられません。両方をしっかり定めて初めて、ゴールに向けた地道な一歩を踏み出せるようになるのです。

渋谷:マラソンでゴールまで走るとき、今35km地点なのか、それともまだ10km地点なのかを数字で把握できることが大切だと思います。35kmと10kmでは、残りの距離をどう走るかという戦略も変わってきますよね。それを知らずに走るだけでは、なかなかゴールにたどり着けません。常に現状を踏まえ、そこからゴールに向けた戦略を考えていくことが重要だと思います。 そのためにも、現状を示す数値や、進捗を評価するベンチマークのような基準を意識していくことが大切かなと思います。

【関連リンク】
日本オラクル株式会社 NetSuite事業統括
https://www.netsuite.co.jp/

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