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インタビュー

【特別対談:斉藤淳×鈴木康弘】EC構築を先導するリーダーが目指す支援の形、豊富な実績を武器にオムニチャネルやデータ活用の定着図る

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ECサイトの豊富な構築実績を持つecbeing。コロナを機にEC事業を本格化する企業が増える中、どんな課題解決に乗り出すのか。どんなツールと体制で企業のEC事業をバックアップするのか。EC構築やオムニチャネルの動向、さらにはecbeingの強みについて、Eビジネス営業本部 執行役員の斉藤淳氏に聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

ECの課題解決を見据えた支援体制を拡充

鈴木:ecbeingがどんな会社なのか知らない人向けに、改めて自己紹介していただけますか。 斉藤:当社はECサイトの構築支援を中核事業に据える会社です。もっとも起業当初はパソコンショップを運営し、ハードディスクやメモリなどを販売していました。しかし家電量販店の進出によりPCパーツの競争が激化してきました。そんなとき考え出したのがネット販売です。PCパーツのネット販売が奏功し、売上を徐々に伸ばしていったのです。同時にECサイトの仕組みづくりやノウハウも蓄積していきました。そんな中、「自社商品をネットで販売したい」という法人顧客からの問い合わせが増え、ECサイトを構築する仕組みをパッケージ化しました。これが今の事業の原点ですね。  現在までに国内のECサイト構築実績は1400を超えます。ある調査会社によると、ECサイト構築パッケージソリューションの市場占有率で13年連続シェア1位を誇っています。
写真:株式会社ecbeing  Eビジネス営業本部 執...

写真:株式会社ecbeing  Eビジネス営業本部 執行役員 斉藤淳氏

鈴木:13年も連続でシェア1位とは圧倒的な人気ですね。多くの企業の課題に寄り添い、課題を解決できるパッケージ、支援体制が強みなのではないでしょうか。実際に顧客と話をする中で、どんな課題を多く感じますか? 斉藤:最近に限ると、多いのはやはり「オムニチャネル」です。実店舗を展開する企業がEC事業に打って出たい、ECサイトを運用するも集客できない、実店舗とECサイトの購買情報を紐づけられないなどの課題が増えていますね。  ECサイトを1つの事業として本格的に取り組む動きも目立ちます。これまでは、ECサイトを実店舗の売上補填程度に考える事業者が少なくありませんでした。しかし最近は、自社のビジネスを支える基幹事業と位置付ける企業が増えています。ECサイトの立ち上げが目的ではなく、その後の集客や売上向上、さらには実店舗との連携まで見据えて動き出す企業が多いですね。 鈴木:新型コロナウイルス感染症のまん延もECの事業化を後押ししているのではないでしょうか。 斉藤:コロナ以前からオムニチャネルに取り組む動きはありましたが、コロナを機にデジタルシフトが一気に進んだと捉えます。コロナの影響で店舗を閉めなければならないがスタッフはいる。モノを売りたいが売る場所がない。これらの状況で、EC事業に踏み出した企業が多いと思います。しかし、「Yahoo!ショッピング」や「楽天市場」などのショッピングモール経由で商品を販売するだけでは十分な顧客接点創出を見込めません。そこで、自前のECサイトやアプリを構築し、サイトやアプリを訪れる利用者の行動や購買履歴を緻密に取得しようとする企業が増えていると認識します。 鈴木:コロナ禍ではEC事業を迅速に展開しなければなりません。パッケージを導入し、設定をチューニングするなどの準備をしているようでは展開が遅れかねない。その意味では、短期導入が可能なSaaSを選択する企業の方が多いと思う。実際はどうでしょうか。 斉藤:ご指摘の通り、SaaSを導入する企業は増えていると思います。当社のパッケージ製品「ecbeing」は中堅・大手の企業単位の業務ニーズに応えられるフルカスタマイズ可能な製品で、立ち上げまでには一般的に5~6カ月かかります。一方、当社はECサイトを短期構築したい企業者向けに「メルカート」と呼ぶSaaSも提供しています。メルカートは機能に絞る代わりに価格を安価に抑え、カスタマイズなしにECを構築・運用できるのが特徴です。  「ecbeing」と「メルカート」の利用割合は8:2といったところでしょうか。もっともメルカートは2年前に提供し始めたばかりで、導入数は徐々に伸びている状況です。  まずはメルカートを使ってスピーディーにコストを抑えてECサイトを構築し、EC事業の拡大に合わせて「自社独自のサービスをECで実現したい」「基幹システムと連携したい」などの課題が出たときに「ecbeing」に移行するという使い方もあります。両方とも当社製品・サービスなので、スムーズに移行できるのも強みですね。 鈴木:EC事業が軌道に乗ればさまざまな課題に直面する。こうした課題を1ずつ解消するのも御社の役割なのでしょうね。 斉藤:さまざまなニーズに応えられる支援体制も用意します。「マイクロサービス」と呼ぶEC事業を補強するサービス群を備えるのも支援体制強化の一環です。例えば、当社のグループ会社が提供する「visumo」は、ECとInstagramを連携するマーケティング支援のマイクロサービスです。Instagramに投稿する写真や動画を自社商品の販促に役立てられるようにします。ほかにもLINE経由でECのキャンペーン情報などを配信する「LINEミニアプリ オプション」、実店舗とECサイトの顧客を統合管理するマーケティング支援アプリ「OMOアプリ+」などもあります。これらマイクロサービスを組み合わすことで、課題に応じてEC事業を段階的に拡張できるようになります。 鈴木:EC事業を本格化しようと思ったら、在庫管理にもメスを入れなければならない。在庫数をリアルタイムで把握したり、キャンペーンなどを踏まえて在庫を調整したりすることが求められる。EC事業に十分ノウハウがない企業向けに、物流体制も支援するのでしょうか。 斉藤:当社は顧客の商品などを保管する倉庫を自前で用意していません。ただし、当社はさまざまな業界に精通する企業とアライアンスを締結しています。物流施設を用意したいなどのニーズに応えられるよう、アライアンス企業と連携した支援体制も提供します。 鈴木:EC事業が拡大すれば、調達や流通、マーケティング、販売、サポートなどを含むサプライチェーンの効率化にも目を向けなければなりません。中にはコールセンターを立ち上げたいなどのニーズも出てくるでしょう。EC構築を起点に、サプライチェーン全体を見据えた支援体制を提供すると、顧客は喜ぶかもしれませんね。 斉藤:おっしゃる通りです。当社はEC構築による豊富なノウハウを持っているのが強みです。「売上がアップした」という結果を伴う成功事例も豊富に持ち合わせています。そこには在庫管理やコールセンターの運用など、ECを取り巻く環境の整備や強化に取り組んだ事例も少なくありません。こうした実績やノウハウが役立つと考えます。今後は広範なサプライチェーンを見据えたEC事業強化に乗り出す企業も増えるでしょう。当社が積み上げてきた成功事例の知見・ノウハウを少しでも顧客に還元できれば幸いです。

EC運用を高度化する分析環境も用意

鈴木:オムニチャネル戦略やECサイト構築を進める企業共通の課題は「データ活用」です。データを一元化できない、分析できない、施策に活かせないなどの声は少なくありません。御社の顧客もデータを活用できない企業は多いはず。こうした顧客をどう支援しているのでしょうか。 斉藤:確かにデータを分析・活用できないという声は多いですね。これまで実店舗のPOSデータだけだった分析対象が、ECサイトを運営し始めたことで大量のデータを取得できるようになった。しかし多くの企業これらのデータを横断的に活用できていない状況です。  当社はこうした課題を抱える企業の支援にも乗り出します。具体的には、「Sechstant(ゼクスタント)」と呼ぶ分析プラットフォームを提供します。これはECサイトで取得する利用者の行動や購買履歴、実店舗の購買情報、さらには外部の広告運用データなどを含めたデータを集約し、横断的に分析するプラットフォームです。データの分析や課題把握、戦略の立案、特定の顧客抽出などの機能を備える「Sechstant CDP」と、メッセージ配信やシナリオ自動化などの機能を備える「Sechstant CRM」で構成し、データ分析に基づく顧客体験向上を目指すためのツールと位置付けます。 鈴木:「Sechstant CDP」と「Sechstant CRM」について、もう少し詳しく教えていただけますか。 斉藤:「Sechstant CDP」はさまざまなデータを基に分析結果を可視化する機能を備えます。データ取集には「Google Cloud Storage」、データ加工には「Google BigQuery」、データ可視化には「Tableau」を使い、これらを組みあせた分析・可視化環境を提供します。BIツールであるTableauは40種以上の分析画面を標準装備し、データをどう可視化すればいいのか分からないといった企業でも容易に活用できます。「F2転換分析」や「併売分析」「RFM分析」など、商品の特性や分析目的に応じた画面を使い分けられます。さらに、バージョンアップを自動化する機能により、顧客ニーズを満たす分析テンプレートが随時追加される仕様も備えます。
図1:Sechstant CDPの「F2転換分析」の画面例

図1:Sechstant CDPの「F2転換分析」の画面例

図2:Sechstant CDPの「併売分析」の画面例

図2:Sechstant CDPの「併売分析」の画面例

 「Sechstant CRM」はメールやLINEなどを使ってターゲット顧客にアプローチするMA(マーケティングオートメーション)機能を備えます。Sechstant CDPで絞り込んだ特定顧客に対し、キャンペーンやクーポンを案内・発行することができます。例えば、過去に同じ商品を購入した人、ポイントの利用期限が切れそうな人、サイトにしばらくアクセスがなく退会しそうな人、ショッピングカートに一度入れた商品を削除した顧客を抽出し、これらの顧客に合わせた施策を展開できるようにします。
図3:Sechstant CRMのクーポン作成画面例

図3:Sechstant CRMのクーポン作成画面例

 「Sechstant CDP」と「Sechstant CRM」を利用することで、利用者ごとの状況に応じた施策を実施できます。実施した施策の効果を検証し、次回の施策に役立てるといったPDCAを回すのにも有効です。 鈴木:ECサイト利用者の行動分析にとどまらず、特定の顧客に対してクーポン発行などの施策を実施するまでの機能を備えているのは便利ですね。しかし、Sechstantを十分に使いこなすには相応の訓練が必要なのではないでしょうか。Sechstantを導入した企業をどうサポートしていますか。 斉藤:Sechstantは単なるツールではなく、マーケティング支援がセットになったサービスです。導入企業がツールを運用開始するまでが当社の務めとは考えていません。運用し始めた企業がツールを使って目的を達成できるかに主眼を置き、当社スタッフが継続的に伴走、支援する人の部分でのサポートを最重要視しています。ecbeingやメルカートも含め、当社のツールを導入した顧客の多くが「売上拡大」を目標に掲げます。この目標を達成しなければ、当社の支援は失敗と言わざるを得ません。では顧客が失敗しないため、当社はどう支援すべきか。スタッフ一同、顧客が成功するための方法、手段を常に模索しています。顧客が成功するカスタマーサクセスを念頭に置くとともに、当社スタッフによる“人前提”の支援体制で、全力でサポートしていきます。

Eビジネス先導者でも「挑戦」を忘れずに

鈴木:ecbeingとして今後、どんな目標を掲げますか。今後の予定やビジョンがあれば教えてください。 斉藤:一例ですが、新型コロナウイルス感染症のまん延を機に、食品やコスメなどを取り扱う事業者からの問い合わせが増えています。コスメ・健康食品などの場合、一度購入して終わる利用者よりも定期購入する利用者が多い。こうした定期購入者向けの機能強化を望む声が多くあります。そこで、利用者のLTV(ライフタイムバリュー)を高めることを目指す定期購入関連の機能強化を進めていく予定です。 鈴木:機能強化に余念がないですね。ECサイトの構築、運用において盤石の地位を築きつつありますね。 斉藤:ECサイトの構築で十分な実績を積み上げてきたという自負がある一方、まだまだ取り組むべき課題は多いと認識します。例えば越境ECです。海外展開を目指す企業をどう支援するか。サイト構築以外にも国ごとの規制内容や決済の仕組み、法的問題の解決などを想定した支援体制を構築しなければなりません。これは一例に過ぎず、ECサイト構築を取り巻くさまざまな課題を解決していかなければならないと考えます。当社は「Eビジネスのトータルソリューション企業」をミッションに掲げます。このミッションを達成するためにも、さらなる体制の強化と製品・サービスの拡充をより一層進めていく考えです。  AIの活用も模索します。海外ではAIを積極的に活用する動きが見られるが、日本ではまだ先進的な取り組みとして導入を躊躇する企業が多いと感じます。しかしECの分野で言えば、在庫数の自動最適化や顧客行動の新たな気づき創出などのメリットを見込めます。EC事業をより効率化できるようにするAI活用も目指します。一方、地道な取り組みではありますが、セキュリティも継続して強化に取り組みます。AIなどの攻めの施策を強化しつつ、認証やデータ保護、漏洩などの守りの施策も徹底します。当たり前ではありますが、ECサイトは安心・信頼がなければ成り立ちません。そのための機能を強化、提供していくことも怠りません。 鈴木:ECサイト構築パッケージのトップベンダーだからこそ見える市場の動き。大変参考になりました。本日はありがとうございました。 斉藤:ありがとうございました。
■株式会社ecbeing
https://www.ecbeing.net/ ■分析プラットフォーム「Sechstant」
https://sechstant.jp/ ■ecbeingのマイクロサービス
https://www.ecbeing.net/service.html ■メルカート
https://mercart.jp/

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