2024年4月に施行された「医師の働き方改革」から約1年が経過しました。Ubie株式会社が実施した調査によると、医療現場の実態は依然として厳しいものです。この調査では、全国の病院に勤務する医師と看護師を対象に、労働時間の短縮に関する意識が探られました。その結果、労働時間が「短縮された」と感じている医師の割合は39.7%であり、前回調査比で7.8ポイントの改善が見られる一方で、依然として60.3%が「短縮されていない」または「増加した」と回答しています。この数字は、多くの医師や看護師が実感している働き方の問題を浮き彫りにしています。

医師において短縮が実感できない理由の上位には、「業務量過多」「人員不足」という声が多く挙げられています。いずれも34.9%がこの理由を挙げており、特に看護師の場合は業務量の多さが52.4%と圧倒的に多い数値を示しています。また、離職者が多く安定した人員配置が維持できないことが、業務の効率化を妨げていることも明らかになりました。
医療現場では、効率化すべき業務のニーズが高まっています。医師が最も効率化を望む業務には、「会議や研修への参加と準備」が挙げられています。一方、看護師にとっては「患者の入退院手続きと調整業務」が最優先課題となっているようです。これらの業務を見直すことが、労働時間の短縮につながる可能性があるため、関係者が注目しなければならないポイントです。
医療機関でのDX推進についても多くの意見が寄せられており、医師の70.3%、看護師の79.4%が「全くできていない」または「あまりできていない」と感じています。これに対し、DXが職場選択の重要基準あると回答した医師が67.5%、看護師が57.7%に上ることから、デジタル化は今後の働き方における鍵となるでしょう。

医療の現場では、AI技術による業務効率化に対する期待も高まっています。医師の65.1%、看護師の45.3%が「効果がある」と感じていることからも、そのポテンシャルは大きいことが伺えます。また、生成AIの活用状況も注目されており、医師の「活用予定者」が現れたことは、今後の医療業界における革新の兆しを示しています。
医師の働き方改革施行から1年が経過しましたが、多くの医師や看護師が労働時間短縮を実感してない現実があります。業務効率化やDX推進、AIの導入といった課題に対して、適切に対処していくことが求められます。今後は、業界全体での協力や意識の変化が必要であり、安定した働き方へと進めるための具体的なアクションが期待されます。詳しくは「Ubie株式会社」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松