厚生労働省は、2025年度(令和7年度)地域別最低賃金改定の指針案をまとめ、全国加重平均が時給1,118円〜1,121円となる見込みであると発表しました。年度比で63円〜66円の引き上げとされ、過去最大の上昇幅となる可能性が高まっています。また、47都道府県全てで最低賃金が時給1,000円を超える見通しが示されています。
背景:物価上昇と賃金底上げの流れ
この大幅引き上げの背景には、食料品や日用品の値上がりに代表されるインフレ圧力と、労働力不足の深刻化があります。消費者物価指数が前年から上昇しており、政府・厚労省は賃金を引き上げて実質賃金の低下に歯止めをかける方針です。
また、政府は「全国平均で時給1,000円以上」という節目を越え、さらに中期的には「時給1,500円をめざす」といった目標も掲げており、今回の引き上げがその道筋の一環であるとされています。
改定の内容と実施時期
指針案によれば、2025年度の最低賃金の全国平均は約時給1,118円が目安とされており、前年度の約1,055円から63円の上昇です。また、報道によれば最終決定額として“時給1,121円”という数字も提示されています。各都道府県では個別に審議が行われ、改定額はそれぞれ10月以降に順次適用される予定です。
現時点で最も高い都道府県では約時給1,226円、最も低いところでも時給1,023円程度とする報道もあり、都心と地方の格差は依然として存在します。
影響・課題:働く人に追い風、中小企業には負担増の懸念も
この最低賃金引き上げによって、店舗やサービス業、パート・アルバイトを中心とする低賃金層の収入改善が期待されます。時給1,000円台を全国で達成することで、生活水準の底上げ効果も注目されています。その一方で、特に中小・小規模事業者にとっては人件費の上昇がコスト圧力となる可能性があります。政府はこの点を踏まえ、価格転嫁の促進や補助金制度の拡充など支援策を打ち出す方向です。
また、最低賃金の水準が上がっても、物価上昇を上回る実質賃金回復には至っておらず、「時給が上がったが生活が大きく変わらない」という声もあります。賃上げとともに生産性向上や業務効率化など、企業全体の構造変革が求められていると言えます。
地域間格差と今後の展望
「全国平均1,000円超え」は大きなマイルストーンではありますが、都道府県別の賃金水準には依然として開きがあります。大都市圏では1,200円超の水準が報じられる一方、地方部では1,000円台前半が中心です。今後は地方企業の経営支援やテレワーク・地方移住促進、人材育成などを通じ、地域経済の底上げも重要なテーマとなるでしょう。
また、今回の引き上げは“指針案”段階であるため、最終決定額や適用開始時期には各都道府県の審議結果が反映される可能性があります。企業側は、10月以降の適用に備え、給与体系・採用条件・コスト計画を早めに見直しておくことが望まれます。
2025年度の最低賃金改定において、全国平均で時給約1,118円(場合によっては1,121円相当)、前年度比で約63円〜66円の上昇という見通しが示されました。これにより全国47都道府県で最低賃金が時給1,000円を超える可能性が高まり、働き手にとっては追い風となります。一方で、中小企業の負担や地域間格差、実質賃金の回復といった課題も依然として残されており、賃金引き上げを持続可能なものとするには、企業の生産性向上・経営支援・地域振興が鍵を握ると言えるでしょう。






















