MENU

ニュース

年金給付金、スマホで24時間申請へ マイナポータル連携で手続きはどこまで楽になる?

  • URLをコピーしました!

所得の低い高齢者などを対象に、年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」。この給付金の申請手続きが、これまでの紙や郵送中心から、マイナポータルを利用した電子申請へと段階的に移行し始めています。

日本年金機構は、令和7年(2025年)1月以降に65歳を迎える方を対象に、電子申請による手続きを開始しました。これにより、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも申請できるようになり、窓口や郵送の手間を省くことができます。

電子申請には、マイナポータルと「ねんきんネット」を連携する仕組みが導入されています。マイナポータル上で案内を受け取り、そのまま申請画面に進める設計になっており、申請者情報(氏名・住所・生年月日など)が自動反映されるため、入力の手間も軽減されます。また、公金受取口座制度と連携しているため、事前に口座登録をしておけば、振込先の入力を省略できるのも大きな利点です。

一方で、電子申請の対象は現時点では限定的です。対象となるのは、日本年金機構から請求書が届いた65歳到達者で、マイナンバーカードを保有し、マイナポータルとねんきんネットを連携させている方に限られます。さらに、添付書類が必要なケースや、加入歴に不明点がある場合などは従来どおり紙での申請が必要です。

電子申請を利用するには、マイナンバーカードに搭載された署名用電子証明書を使って本人確認を行う必要があります。そのため、カードを持っていない人や、有効な電子証明書を設定していない人は利用できません。スマートフォンのNFC機能を使ってマイナンバーカードを読み取る必要があるため、対応機種や操作方法に不慣れな方にとってはハードルが高い面もあります。

こうした点から、電子申請の利便性を十分に活かすためには、高齢者のICTリテラシー支援が欠かせません。操作支援窓口や自治体での説明会、動画による案内など、利用者に寄り添ったサポート体制が求められます。日本年金機構では、公式サイトやYouTubeで電子申請の手順動画を公開し、操作方法を丁寧に案内しています。

また、セキュリティ面の強化も重要です。マイナンバーカードや公金受取口座を悪用した詐欺への注意喚起も各自治体から発信されています。年金機構や市区町村が電話やメールで暗証番号や口座情報を求めることはないため、不審な連絡には十分な警戒が必要です。

行政側にとっても、電子申請化にはシステムの安定稼働やサポート体制整備といった課題があります。マイナポータルとねんきんネットの連携を支えるIT基盤の信頼性向上、アクセス集中への対応、個人情報の保護など、技術面と運用面の両立が求められています。

電子申請化は、申請手続きを効率化し、行政コストを削減する一方で、誰もが使える環境を整えることが今後の焦点です。マイナンバーカードの普及が進む中、こうしたデジタル手続きが生活に浸透すれば、給付金制度の利便性は飛躍的に高まるでしょう。

年金制度におけるデジタル化は、単なる業務効率化ではなく、「すべての人が簡単に支援を受けられる社会」を実現するための一歩でもあります。今後は、電子申請の対象拡大や通知のデジタル化など、より包括的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が期待されます。

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • 企業風土の礎
  • 日本オムニチャネル協会

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる