全国209自治体を対象にした一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会の調査で、建設DXの足かせとなる実務課題が明らかになりました。工事管理の負荷は図面と提出書類に集中し、紙正本や混在管理、属人化が引き継ぎや検索性を阻害しています。電子納品など基盤施策は一定の進展が見られる一方で、BIMや点群など高度施策は関心はあっても計画に至らない状況が過半でした。推進にあたっては予算、人材、施策理解不足が上位の障害で、費用目安の不明確さが意思決定を遅らせている実態もうかがえます。現場実務の負荷を減らし、DXを着実に進めるうえで、標準化と一元管理を軸にした段階的なアプローチが鍵になります。
自治体の建設DXは「関心先行」から実装段階へ移行できていない現状


同調査では、工事管理業務の負荷が最も高い工程として図面の作成や修正、共有が29.2%、提出書類の作成と確認が26.8%を占めました。 工事写真の整理や関係者調整も一定の比率があり、成果物の整備と確認に日々の工数が吸い取られている構図が見て取れます。 図面や設備台帳の管理は紙の正本を書庫で保管が41.6%で最多となり、紙、Excel、専用システムの混在や、Excelや共有フォルダに依存した属人の運用も目立ちました。 結果として異動時の引き継ぎが困難や過去履歴の検索に時間といった課題が上位に挙がっています。 電子納品は運用中と試行中の合計が39.2%に達しますが、情報共有システムや遠隔臨場、BIMや点群出来形は運用中と試行中が一桁台から二桁前半にとどまり、関心はあるが予定なしが過半です。連絡手段はメールと電話・FAXが中心で、ASPやビジネスチャットの活用は限定的でした。 これらの事実は、運用基盤が整わないまま高度施策に踏み出せず、日常の連絡や提出運用が人に紐づくことで手戻りが常態化しやすいことを示しています。
予算、人材、理解不足が三重苦。まずは提出書類の標準化と情報一元化を

DX推進の課題は予算獲得が難しいが56.5%、人材不足が52.6%、施策理解不足が47.4%でした。さらに年間で確保できる予算規模はわからないや特に決まっていないが合わせて大勢を占め、費用目安の不明確さが意思決定の壁になっています。標準化ニーズは提出書類の標準フォーマットが58.4%で突出し、工事写真の電子納品ルールや図面データの標準も続きました。期待効果としては発注者の確認や検査の工数削減、受注者の書類作成効率化、手戻りや認識齟齬の減少が挙がっています。実務への提言としては、第一歩を提出書類の標準化とワークフローの明確化に置き、図面、写真、台帳、履歴の所在と版を誰でも追える状態に整えることが有効です。次に、メールや電話中心の連絡を補完する情報共有基盤を段階導入し、提出と差し戻し、承認履歴の可視化により手戻りを削減します。段階導入の各ステップで効果指標と費用を記録し、翌年度の予算根拠に転換する小さな成功の積み上げが、関心止まりから運用移行への近道になります。
施工管理ソフトは情報基盤へ進化。製品選定は課題起点で段階導入を
施工管理ソフト市場は業務を支援するツールから行政、現場、ベンダーを結ぶ情報基盤への進化が指摘されています。一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会は標準化と品質評価の透明化を目的にデータベースを構築し、2025年11月時点で74社191ソフトが登録されています。導入検討にあたっては、提出書類、図面管理、写真管理、台帳や履歴の検索性といった足元課題を起点に、必要機能の優先度を明確にすることが重要です。例えば電子納品の運用や試行を先に進め、承認プロセスの可視化や差し戻し削減を定量化し、その成果をもとに情報共有システムや遠隔臨場の範囲を広げる段階設計が有効です。BIMや点群出来形など投資と体制が必要な領域は、関心を実装に移す条件として、費用感、導入から本格運用までの手順、想定効果の三点を早期に可視化します。他自治体で知りたい情報として費用感と効果、導入手順が上位だった点を踏まえ、同規模、同業務の先行事例を参照し、本人たちの運用の定義と評価指標までをセットで比較することが成功確率を高めます。
詳しくは「一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会」の公式ページまで。






















