富士通株式会社と東北大学は、次世代放射光施設「ナノテラス」で取得した測定データをAI解析し、超電導材料の電子の性質を突き止めました。膨大化する実験データから因果関係を迅速に抽出できるため、新しい電池や半導体材料の開発効率向上が期待されます。成果は学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。材料開発ではデータ量がテラバイト規模へ拡大し、人手での解析が難しくなっています。相関ではなく因果を可視化するアプローチの有効性が示されました。
富士通の因果発見AIは、原因と結果の関係を変化量とともに可視化できるのが特徴です。従来は遺伝子と体質の関係分析などで活用されてきましたが、今回は材料データに適用しました。研究チームは、セシウムやアンチモンなどからなる化合物を対象に、絶対零度付近で電気抵抗がゼロになる超電導性に着目しました。ナノテラスで電子の位置やエネルギーを場所ごとに計測し、原子と電子の関係を解析しました。
解析の結果、特定の原子結合が電子に強く影響することが分かりました。併せて、従来は無関係と見なされてきた場所や、表面の元素種が電子の性質に関与する可能性も示されました。富士通コンピューティング研究所の樋口博之シニアリサーチマネージャーは、AIが先入観による見落としを補い得ると述べています。因果に基づく重要因子の抽出は、仮説立案と検証の高速化に直結し、測定コストと時間の削減に寄与します。
富士通は3月にも材料研究向けの因果発見AIシステム提供を開始します。材料探索から製造プロセスや量産設備の最適化まで、AIを組み合わせることで実用化までの期間短縮が見込まれます。超電導に限らず、電池や半導体など幅広い分野で、微細構造と特性の因果連鎖を可視化し、設計指針へ反映する取り組みの拡大が期待されます。
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