米アマゾンは1月27日、自社ブランドの実店舗「アマゾン・フレッシュ」と「アマゾン・ゴー」の全店舗を閉鎖すると発表しました。対象は合計72店舗です。自社ブランドの食料品実店舗で前向きな兆候はあったものの、大規模展開に必要な適切な経済モデルに基づく真に差別化された顧客体験の創出には至らなかったと説明しています。これに伴い、実店舗への投資を再配分し、2017年に買収した自然食品に強みを持つ高級スーパーマーケットのホールフーズ・マーケットの新規出店と配送機能の強化に注力します。特に食品の同日配送サービスの拡大を重視し、オンラインとオフラインの融合を一段と進める方針です。今回の発表は、実店舗戦略を収益性重視で再構築する動きを示しています。
フレッシュとゴーの歩みと閉鎖の背景
アマゾンはEC単体では得にくい店舗接点の確保を目的に実店舗展開を進めてきました。ホールフーズが高級志向であるのに対し、アマゾン・フレッシュは一般大衆向けの品ぞろえと低価格路線を打ち出し、ハイテクショッピングカートなどの導入も進めていました。しかし集客は伸び悩みました。レジ待ち不要で自動決済を特徴としたアマゾン・ゴーも広範な支持にはつながらず、2023年以降は店舗の半分以上が閉鎖されていました。今回の全店閉鎖は、差別化と収益性の両立に課題が残った結果といえます。投資をホールフーズに集約し、体験価値と経済性の再設計を急ぐ狙いが示されました。実験的フォーマットから、持続可能なモデルへの移行が進みます。
ホールフーズ強化と配送拡大による再配分
投資の焦点はホールフーズの新規出店と配送サービス強化に置かれます。食品の同日配送は利便性を大きく高め、オンラインと店舗の相互送客を促す重要な施策です。ホールフーズのブランド力と購買データを活用し、店舗網とラストワンマイルの最適化を進める方針です。実店舗は単体の採算だけでなく、デジタルと連動した総合的な顧客体験のハブとして位置付けられます。これにより、効率化とサービス水準の両立を図る体制の構築が期待されます。同時に、投資資源の集中で意思決定のスピードも高まります。今回の選択と集中は、短期の改革と中長期の競争力強化の両面を意識したものです。
実店舗の再構築 大型複合店と小型店の多角展開
アマゾンは実店舗事業自体を断念するわけではありません。2026年1月に、イリノイ州オークランドパークで約23万平方フィートの超大型複合店舗を開設する許可を得ています。一方で、好調な小型店「ホールフーズ・マーケット・デイリー・ショップ」を2026年までに5店舗増設する方針です。大型旗艦と地域密着型小型店の併走により、立地や需要に応じたフォーマット最適化を図ります。多角的な店舗モデルは顧客接点を維持しつつ、収益性の高い領域に資源を配分することを可能にします。オンラインとオフラインを統合した運営を前提に、実店舗の役割は再定義されていきます。段階的に戦略の具体化が進む中で、次の打ち手への関心が高まっています。
詳しくは「アマゾン」の公式ページまで。






















