外食の常識が変わるかもしれません。New Innovationsがモスバーガー吉川美南店でAIドライブスルーの実証を始めました。AIが注文を受け、人が支える新しい応対です。人手不足の現場課題と接客品質に同時に挑みます。2026年度中に5カ所程度へ拡大し、複数店舗での常設も視野に入ります。次に求められる店舗体験はどのように進化するのでしょうか。
AIが受け、人が支える新モデルを現場で検証
New Innovationsは2025年12月、モスフードサービスと次世代型店舗開発に向けたAI活用のパートナーシップを締結しました。第一弾として、埼玉県のモスバーガー吉川美南店でAIドライブスルーの実証を開始しています。対象ソリューションは音声対話AI「AI Order Thru」です。音声だけで自然に注文を完結でき、画面操作に頼らない直感的な体験を設計しています。AIがオーダー受注を担当し、店舗スタッフが必要に応じてサポートする運用です。いわばAIとスタッフのハイブリッド応対で、接客品質とオペレーションの両立を検証します。
背景には、外食業界の人手不足と、ドライブスルー領域でのAI注文の課題があります。欧米ではAI音声注文の導入が進みますが、認識精度や柔軟応対の難しさが指摘されてきました。New InnovationsはAIを単なる代替ではなく、ブランド体験を拡張する存在として位置づけます。ブランドごとのガイドラインや標準オペレーションを前提に対話設計を行い、モスバーガーの接客スタイルに沿う形で実装しています。技術導入を目的化せず、店舗の価値基準に合わせる姿勢が特徴です。
実証は2026年度中に合計5カ所程度へ拡大予定で、複数店舗での常設を目指します。将来構想として、栄養条件からのメニュー提案の即応や、キャンペーン時に人気キャラクターが応答する演出などを視野に入れています。スピードと楽しさを両立する狙いです。現場導入で求められるのは、会話の聞き取り精度と、厨房やPOSとの連携です。「AI Order Thru」はノイズ環境に合わせてハードとAIモデルを一体設計し、オーダーから生産着手、既存システム入力までの実運用連携を想定しています。
仕組み面では四つの特長が示されています。第一に、AIとITシステムを二層で設計し、必須確認や販売不可の案内などガイドライン準拠の正確な受注を可能にします。第二に、固定UIから解放する音声対話でスムーズな体験を提供します。第三に、マイクやスピーカーなど物理インフラとノイズ対応モデルを一体化し、ドライブスルー特有の雑音環境でも聞き取りやすい対話を成立させます。第四に、標準オペレーションをAIに実装し、接客品質の平準化と省人化を両立します。大量の記憶や複雑処理にも対応できます。
導入検討テーマも明確です。ドライブスルーの省人化、セルフオーダーのUX改善、実店舗での音声対話AI検証、人とAIの最適な役割分担の模索が挙げられています。New Innovationsは技術検証からスモールスタートの実証まで伴走を表明しています。OMOを軸にハードとソフトを一体で設計してきた実績を背景に、店舗運営の効率化と体験価値の強化を狙います。自社プロダクトには「AI Order Thru」に加え、スマートコーヒースタンド「root C」、全自動調理ロボットや店舗統合ソリューション「Store Meister」などがあり、省力化と自動化に軸足を置く姿勢が読み取れます。
今回の取り組みは、AIの導入を目的化せずブランド体験の拡張に結びつける点が要です。認識精度への懸念には、二層アーキテクチャとガイドライン準拠の対話設計で応えようとしています。ノイズの厳しいドライブスルー環境に合わせた物理とAIの一体設計は現場適合性を高めます。ハイブリッド応対により、不測のケースに人が素早く介入できる余地を残しつつ、平常時の標準応対はAIで平準化します。2026年度に向けて検証拠点を広げる計画は、常設の見極めに向けた実運用データの蓄積を意図しています。
最後に見解を述べます。ブランドガイドライン起点の対話設計とハイブリッド運用は、外食領域のAI導入で実効性を高める鍵になります。物理インフラとAIの同時設計は、ドライブスルーの現場品質を一段引き上げると考えます。
詳しくは「株式会社New Innovations」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部






















