公共部門のAI活用が加速します。デジタル庁は、生成AI環境「源内」を全府省庁の約18万人に広げる大規模実証を開始します。開始は2026年5月、期間は2027年3月までの予定です。指定職や管理職の率先活用も組み込み、業務プロセスと組織文化の変革まで見据えます。補正予算で複数プロジェクトを同時並行で進め、成果は源内から順次提供されます。政府自らが先導し、信頼できるAIの姿を示す狙いが明確です。
「源内」実証の全体像とスケジュールを読み解く
デジタル庁は、デジタル庁職員向けに整備してきた生成AI利用環境を、全府省庁の政府職員に拡大します。対象は約18万人で、試験導入の期間は2026年5月から2027年3月までの予定です。背景には、少子高齢化による担い手不足への対応と、政府が先導してAI利活用を進める方針があります。2025年12月に開催された第3回人工知能戦略本部で、内閣総理大臣が2026年5月から10万人以上が活用できる状態を指示しました。さらに、2025年12月23日に閣議決定された人工知能基本計画で、政府自らの積極的かつ先導的な利活用が決定されています。これらの方針を踏まえ、全庁横断での実証に踏み切る構図です。
大規模実証の成否を左右する前提として、各府省庁の主体的な参加が求められます。単なるツール導入ではなく、業務プロセスや働き方、組織文化まで含めた変革を重視します。そのため、生成AIの利活用促進とガバナンス強化の体制整備が不可欠とされます。具体的には、職員への周知啓発と意識改革を進めることが挙げられます。あわせて、生成AI調達・利活用ガイドラインに沿った対応を徹底します。また、AI統括責任者であるCAIOがガバナンスと統括監理を担い、実証期間中の運用を主導します。これにより、本格導入に備えた知見の蓄積とリスク管理の両立を図ります。
併走する取り組みとして、令和7年度補正予算を活用した「ガバメントAI整備事業」が進みます。成果物は順次「源内」経由で政府職員に提供され、情報発信も行われる予定です。スケジュールには、生成AI利用環境の大規模導入実証が2026年4月頃から2027年3月まで含まれます。さらに、ガバメントAI検証環境の設計と開発が2026年5月頃から進みます。高度AIアプリケーション構築の開発実証は二本立てで、厚生労働省雇用環境・均等局との連携案件と、国会答弁作成支援AIの開発が2026年4月頃から始まります。データ面では、大規模データセットの調査や収集、加工が2026年5月頃から着手されます。あわせて、開発動画の作成や基盤整備の主管課支援も2026年内に順次動き出す計画です。
実証の出口戦略も示されています。2027年度には、大規模実証の結果を踏まえて「源内」の本格利用を開始する方針です。今後は、AIアプリの開発強化や国産AIの活用、エージェントAIの導入が進められます。政府共通データセットの拡充も掲げられ、継続的な性能向上とユースケース拡大が見込まれます。さらに、国産AIの育成と強化を明確に位置付けています。関連して、「源内」に係るソースコードのオープンソース化の検討も進め、民間の投資を喚起する構えです。これにより、ガバメントAI領域での日本の自律性確保を目指すメッセージが強調されています。
実務面のアクションとして、関係部局は早期に体制を整える必要があります。まず、職員への周知や研修を計画し、実証期間における利用シナリオを具体化します。次に、調達や利活用のルールをガイドラインに適合させ、リスク対応のフローを明文化します。また、CAIOを中心に評価指標とレビュー体制を設計し、2026年5月からの本格的なデータ収集と振り返りに備えます。該当業務の棚卸しと優先度付けを進め、実証の成果が現場の業務の質向上に直結する状態を作ることが重要です。最後に、2027年度の本格利用を見据え、ナレッジの共有基盤と、必要に応じたツールやデータの拡充計画を並行して進めます。
見解として、規模とスピードを両立させる設計が鮮明で、実証から定着までの道筋が具体的です。ガバナンスと現場活用の同時展開が、AIの普段使いを定着させる鍵になります。
詳しくは「デジタル庁」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部






















