AI導入が進む一方で、使いこなせない層の存在が業務の支障になっている実態が浮き彫りになりました。コーレ株式会社が、生成AIを業務導入している企業の管理職・マネージャー1,008人を対象に実施した調査では、約7割が「使いこなせない層による業務支障」を感じ、特に課長・リーダー職の習熟遅れが注目されました。活用ツールはChatGPTが最多で、活用業務は文書作成が中心です。導入体制は企業ごとに差があるものの、約7割に専任プロジェクトが存在していました。投資面では100万〜500万円未満の中規模投資が最多で、約9割が今後の投資増を見込んでいます。セキュリティ不安と活用アイデア不足が定着の壁になっており、環境整備の重要性が示されました。
調査の背景と方法 企業規模を問わず、管理職1,008人の実態を把握
本調査の実施主体はコーレ株式会社で、期間は2026年1月28日から29日、インターネット調査で行われました。対象は、回答時点で業務に生成AIを導入している企業の管理職・マネージャーです。サンプル数は1,008人で、プライム上場企業が40.0パーセントと最多でした。次いで未上場・非上場中小企業が20.5パーセント、スタンダード上場企業が15.9パーセントとなり、大手中心ながら幅広い企業属性を含んでいます。生成AIの導入が実務段階に入っている層を切り出しており、現場の運用実態と課題が具体的に可視化されています。誰が何をどの程度活用しているかに加え、導入体制や投資方針まで網羅しており、定量的に現在地を測る材料となります。
ツールと活用領域 ChatGPTが57.7パーセントで最多 文書作成と要約が中心に
業務で活用している生成AIとして、ChatGPTが57.7パーセントで最多でした。続いてGeminiが39.3パーセント、Microsoft Copilotが30.3パーセントとなり、複数ツールの併用が進んでいる傾向がうかがえます。活用業務では、文書作成が63.1パーセントで首位となり、情報収集・要約が51.4パーセント、アイデア出しが37.4パーセントでした。導入目的は、業務の時間短縮・効率化が66.2パーセントで最多となり、コスト削減が29.2パーセント、業務品質の標準化が28.8パーセントと続いています。業務リスクが低く成果が可視化されやすい領域から定着が進んでいる実態が示されました。プログラミングや法務など、専門性の高い領域にも活用が広がっている事例が確認されています。
人材と組織の壁 課長・リーダー職の習熟遅れが最多 専門チームは約7割に存在
生成AIを使いこなせない層として最も多かったのは、自部門の課長・リーダー職で29.3パーセントでした。次点は経営層で26.8パーセント、続いて自部門の一般職が25.6パーセントとなりました。現場だけでなく、意思決定層の習熟遅れが上位に並んだ点は重要です。評価や業務設計に関わる立場の理解が不足すると、適切な活用推進に支障が出やすくなります。導入体制については、生成AI導入の専門プロジェクトチームが「ない」が29.2パーセントで最多でした。一方で、5〜10人のチームがあるが17.4パーセント、3人のチームがあるが13.0パーセントとなり、約7割の企業で何らかの体制が存在していました。チーム規模のばらつきが示され、企業ごとの向き合い方に差がある状況です。
定着を阻む要因 セキュリティ不安が33.5パーセント 活用アイデア不足も26.0パーセント
活用が進まない要因の最多は、セキュリティ面に懸念があるが33.5パーセントでした。次いで、生成AIの具体的な活用アイデアが出ないが26.0パーセント、情報システム部門の理解・協力が得られないが22.4パーセントとなりました。情報漏洩リスクへの配慮がブレーキになりやすい一方で、活用設計の不足も阻害要因になっています。管理部門と現場の温度差が影響し、ルール設計や事例共有が不足しているケースが見られます。課題は個人のスキル問題だけでなく、部門間の連携やガバナンスの整備とも結びついています。運用ルールの明確化と、定期的な活用レビューの仕組みが重要とされます。
投資動向 年間100万〜500万円未満が最多 約9割が増額に前向き
年間の生成AI投資額は、100万〜500万円未満が21.5パーセントで最多でした。次いで500万〜1,000万円未満が20.0パーセント、10万〜100万円未満が16.5パーセントでした。いきなりの大規模展開よりも、効果を見極めながら進める姿勢が多数派であることが示されました。AI予算の捻出元は、新規予算枠が30.1パーセントで最多となり、開発費が19.0パーセント、不明が18.5パーセントでした。新規枠の計上は、生成AIが明確な投資対象として位置付けられている兆候です。今後の投資予算を増やしたいかでは、とてもそう思うが29.6パーセント、ややそう思うが56.9パーセントとなり、約9割が前向きな姿勢を示しました。
効果実感と残る課題 導入は約7割が順調一方、使いこなせない層による支障も7割超
生成AI導入がうまくいっているかでは、とてもそう思うが22.1パーセント、ややそう思うが48.0パーセントで、約7割が順調と回答しました。導入効果が広く実感されつつも、成功を断言できる段階には至っていない状況が示されています。一方で、生成AIを使いこなせない人によって業務に支障が出ているかでは、とてもそう思うが22.2パーセント、ややそう思うが49.1パーセントで、7割以上が支障を感じています。個人の習熟の差がチーム連携や業務速度に影響を及ぼし始めている実態です。ツール導入だけでなく、評価設計や研修、業務フローの見直しなど、組織的な運用の質が問われています。活用が進む領域の標準手順化と、成功パターンの横展開が重要となります。
まとめ 生成AIは実装フェーズに移行 投資の継続と運用設計が鍵
生成AIは、文書作成や情報整理を中心に実務へ定着し、複数ツールを併用する運用が広がっています。投資は中規模レンジを中心に着実に進み、今後の増額意向も高い状況です。課題面では、管理職や経営層の習熟遅れと、セキュリティおよび活用設計の不足が重なり、定着の壁になっています。専任チームの設置やルール整備、事例の共有によって、活用領域の拡大に繋げる余地があります。誰が何にどう使うかを明確にし、評価と育成を運用に織り込むことが、効果の継続と組織全体の底上げに寄与します。詳細データと集計はスライド資料として提供されており、現状把握と社内の合意形成に役立ちます。
詳しくは「コーレ株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















