長期間使っていない銀行口座がある場合、10年取引がない預金は「休眠預金」として扱われます。毎年およそ1,200億円が対象となり、その後およそ500億円が払戻しされています。制度は2018年に施行され、2019年以降に発生した休眠預金が活用の対象です。対象となる預金種別や通知条件、払戻しの可否、移管後の活用先まで、実務で迷いやすいポイントを整理します。該当の可能性がある口座の確認は早めに行うことが重要です。
休眠預金の対象範囲と成立の条件
休眠預金は、最後の取引から10年間、入出金などの「異動」がない預金を指します。対象となるのは、銀行の普通預金や定期預金、信用金庫の普通預金や定期積金、ゆうちょ銀行の通常貯金や定期貯金、定額貯金などです。外貨預金や仕組預金、財形貯蓄は対象外とされています。長く使っていない口座として、過去に作成した学業や転勤時の口座、子どもの頃に家族が開いた口座があてはまることがあります。過去の実績では毎年1,200億円程度が該当しており、規模の大きさがうかがえます。2016年に法律が成立し、2018年に施行された後、2019年以降に発生した休眠預金が公益的な活動に充てられます。
休眠化の前に届く通知と見落としやすい点
最後の異動から9年が経過し、近く休眠預金となる可能性がある場合、金融機関のウェブサイトで公告されます。さらに預金残高が1万円以上で、登録住所に住んでいる場合は通知が郵送されます。郵送の代わりに電子メールで通知されるケースもあり、届けば口座は休眠扱いにはなりません。一方で預金残高が1万円未満の口座には通知が送られません。1万円以上でも住所変更やメールアドレス変更が未反映だと通知が届かず、結果として休眠預金になるおそれがあります。住所や連絡先に変更があった人は、取引金融機関への届け出状況を確認することが欠かせません。通知の有無がその後の取り扱いを左右します。
「異動」に該当する具体的行為と取り扱いの違い
休眠扱いを防ぐには、10年以内に「異動」を発生させることが有効です。全ての金融機関で共通する異動には入出金、第三者からの支払請求、公告後の情報提供の求めが含まれます。これに加えて、通帳や証書の発行や記帳、繰越、残高照会、契約内容や顧客情報の変更、口座を借入金返済に利用する申出、情報の受領、総合口座内のほかの預金の異動などが該当する場合があります。もっとも、通帳の記帳を異動と見なさない金融機関もあるなど、詳細は金融機関ごとに異なります。どの行為が異動に当たるかは、取引のある金融機関に確認することが確実です。小さな手続きでも条件を満たせば休眠化の回避につながります。
休眠預金になった後の流れと払戻しの可否
10年間取引がなく休眠預金となった資金は、金融機関から預金保険機構に移管されます。その後、民間団体を通じて、子ども若者支援、生活困難者支援、地域活性化等支援の三つの分野で活用されます。移管後であっても、元の預金は引き出しが可能です。取引のあった金融機関で、通帳や取引印、本人確認書類などを持参し、所定の手続きを行います。払戻しの具体的な方法や必要書類は金融機関によって取り扱いが異なるため、事前に問い合わせるとスムーズです。制度の趣旨を踏まえつつ、本人の資産は保全される設計になっています。
いま確認しておきたい実務アクション
まず、心当たりのある過去の口座の存在を洗い出し、通帳やキャッシュカードが手元にない場合も含めて金融機関に確認します。住所やメールアドレスが変わっている場合は、速やかに変更手続きを済ませます。残高が少額でも通知対象外となるため、未使用口座の解約や資金の集約も検討します。当面利用する予定のある口座は、少額の入出金などで異動を発生させておくことが有効です。休眠扱いとなった場合の払戻しは可能ですが、必要書類の準備や来店手続きに時間を要するため、早めの対応が結果的に負担軽減につながります。制度の対象外となる預金種別もあるため、口座の種類を確認した上で適切に手当てしてください。






















