MENU

ニュース

宇宙飛行士が「右へ」と話すだけ AIがロボットを動かすPhysical AIを宇宙で実証

  • URLをコピーしました!

人とAIの協調を掲げる株式会社ABEJAは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構からの委託により、自律飛行型カメラロボット「Int-Ball2」向け音声認識システムを構築しました。2025年5月に宇宙船内を模したシミュレーション環境で動作確認を行い、その後、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟内で軌道上実証が実施され、宇宙飛行士の音声指示を認識してInt-Ball2を操作することに成功しています。通信の途絶や遅延の影響を受けないエッジ実装により、ハンズフリーでの運用が成立した点が成果として示されました。ABEJAは限られたハードウェアリソース下での稼働に向けてソフトウェアの軽量化を進め、疑似ノイズを用いたファインチューニングで最適化を図りました。ノイズ源が多い宇宙船内でも動作したことは、Physical AIの実装可能性を裏付ける結果となりました。今後もABEJA Platformを通じ、ミッションクリティカル領域でのAI活用支援を継続するとしています。

実証の概要 宇宙空間の船内環境で音声操作に成功

JAXAは、ISS「きぼう」日本実験棟でInt-Ball2に搭載した音声認識システムの軌道上実証を行いました。宇宙飛行士が言語で移動指示を口頭発声し、システムがそれを認識してInt-Ball2を上下左右に移動および回転させる操作に成功しています。これに先立ち、2025年5月には狭小空間で騒音源が多い宇宙船内を再現したシミュレーション環境で動作確認が実施されました。軌道上の検証では、通信が不安定になりやすい宇宙空間においても、宇宙船内のエッジデバイス上で完結する処理により、遅延や途絶の影響を受けないハンズフリー操作の有効性が確認されています。システムは、宇宙飛行士の声をトリガーとして自律的にInt-Ball2の物理動作に反映する構成です。現場の音や反響を伴う環境条件下でも動作した事実が、実運用レベルの信頼性を示しました。

技術的アプローチ 軽量化と疑似ノイズによる最適化

ABEJAは、前回構築した音声認識システムをベースに、制限のある計算資源でも稼働できるよう更なる軽量化を行いました。併せて、実環境の音声データから作成した疑似ノイズを用いたファインチューニングによって、ノイズが多い船内環境に合わせた精度最適化を実施しています。これにより、騒音や反響を含む音場でもコマンドの誤認識を抑制し、操作の安定性を確保しました。エッジ側での完結処理は、通信経路に依存しない設計であり、遅延要因を排除しながらリアルタイム性を担保します。軽量化と最適化を両立したシステム構成は、限られたハードウェアでの動作要件に適合しています。宇宙空間における実証結果は、同様の制約環境下での適用可能性を示す根拠となりました。

Int-Ball2の役割と検証手順 撮影支援からプラットフォーム機能まで

Int-Ball2は、宇宙飛行士の撮影作業を支援する船内ドローンであり、カメラロボットとしての利用に加えて「きぼう」日本実験棟内で各種プログラムを実行するプラットフォーム機能を備えています。今回の検証では、当該システムをInt-Ball2にインストールし、宇宙飛行士が実際に起動操作を行ったうえで、口頭のコマンドによる具体的な移動指示を試験しました。上下左右の移動および回転動作が意図通りに実行され、ハンズフリー操作の有効性が確認されています。操作結果は、ノイズを含む環境におけるコマンド認識の精度が十分であることを示しています。こうした検証手順は、機体の基本機能と音声認識の統合が実運用レベルで成立していることを確認するプロセスとなりました。船内という制約空間での実装は、安全性と即応性の両立も示しています。

Physical AIとしての意義 人の音声から自律動作へ

当該システムは、宇宙飛行士の音声をAIが解析し、Int-Ball2の自律的な物理動作へと反映させる構成で、Physical AIの最先端事例と位置づけられています。音声という自然なインターフェースを通じて、機体の移動や回転のような具体的行動に直結させることが可能になりました。人によるオペレーションの一部を自動化しつつ、宇宙空間という極限のリアル空間で有効に機能した点は、Physical AIの実装価値を示すものです。ABEJAはこの取り組みを、研究開発の重要なユースケースと捉えており、実運用を前提とするアーキテクチャの有効性を強調しています。通信環境に左右されないエッジ実装は、信頼性と応答性の確保に資する方法として示されました。結果として、業務現場に近接したAIの配置が、効率と安全の両面で効果的であることが示されています。

ABEJAの事業基盤 ABEJA Platformによる実運用支援

ABEJAは、エンタープライズプラットフォーム事業を展開し、ABEJA Platformを中核にAI活用を実運用として成立させることを掲げています。Agentic AIによる意思決定とPhysical AIによる実行を統合し、データ、意思決定、オペレーションを一体的に扱う実装基盤を提供している点が特徴です。Human in the Loopを前提とするアーキテクチャにより、初期段階からの実運用を可能にし、ゼロPoCを実現すると説明しています。ミッションクリティカルな業務でも、業務プロセスへの組み込みと継続的な高度化を進める方針です。本社は東京都港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番2階、設立は2012年9月10日、代表は代表取締役CEOの岡田陽介です。今回の宇宙実証で得られた知見は、今後の産業領域への展開にも資するものとなります。

詳しくは「株式会社ABEJA」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • 日本オムニチャネル協会
  • 公式LINEメンバー

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる