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2021.09.16

NTTアグリテクノロジーなど、IoTを使った真珠養殖業の活性化プロジェクトを開始

三重県水産研究所、NTTアグリテクノロジー、ミキモトは2021年9月15日、真珠養殖業の活性化を推進するため、IoTを活用した新たなプロジェクトを開始すると発表しました。同プロジェクトを通じて、アコヤ貝の成育に脅威となる環境の変化や、貝の生理状態の異常を迅速にとらえることを目指します。そして、適切な養殖管理を実施し、アコヤ貝のへい死被害の軽減を図ります。

 三重県の真珠養殖業の現場では、高水温化や餌不足などの環境変動にその他の要因が複合的に影響して、稚貝を中心にへい死(何らかの原因による突然死)が発生しています。三重県水産研究所が2020年12月に策定、公開した「気候変動に対応した新たな真珠適正養殖管理マニュアル」によれば、2020年度へい死率は44%とされています。

 そのため、これらの被害軽減に向けた取り組みが急務となっています。また、従来から、アコヤ貝(真珠養殖に用いられる)に被害をもたらす恐れのある有害な赤潮や貧酸素の影響についても、効果的な対策が求められています。

 三重県水産研究所、NTTアグリテクノロジー、ミキモトは、こうした状況を踏まえ、英虞湾(あごわん)において、環境変動に対応可能な、IoTを活用したアコヤ貝の適切な養殖管理手法の開発に着手しました。また、同プロジェクトで得られた結果をもとに取り組みの範囲を広げて、真珠養殖業の生産性向上と活性化を目指します。

 同プロジェクトでは、海洋環境の各種センサー(海洋IoTセンサー)と、「貝リンガル」を活用します。貝リンガルとは、磁気センサーによって貝の開閉運動を可視化し、観測するシステムです。貝リンガルで使われる「ホール素子センサー」は、電流と磁場の相互作用による「ホール効果」を利用して、磁石が発する磁力の強さを電気信号に変換して出力します。

 それらを活用することで、以下を実施します。

・海洋環境と貝の開閉運動のデータ蓄積、およびそれらの相関関係の解析
・異常検知時のアラート通知によるアコヤ貝のへい死被害の回避などの検証

 なお、通信環境については、低電力の無線で長距離通信できるLPWA(Low Power Wide Area)などを用いて構築します。これは、英虞湾全体の真珠養殖場への拡大を見据えたものです。
図1:プロジェクトの概要

図1:プロジェクトの概要

 同プロジェクトで、各組織は以下の役割を担います。

<三重県水産研究所>
 ・養殖環境のデータ解析
 ・同システムの活用検討

<NTTアグリテクノロジー>
 ・海洋IoTセンサーの提供・設置
 ・IoTを活用した事業支援
 ・LPWA環境の構築支援
 ・同システムの活用検討

<ミキモト>
 ・貝リンガルのデータ解析などの技術支援

 プロジェクト実施期間は、2021年9月15日から2022年3月末までとなります。

 同プロジェクトでのシステムを活用することで、高水温時や赤潮・貧酸素水塊の発生など、アコヤ貝の成育に脅威となる環境の変化や、貝の生理状態の異常を迅速にとらえることが期待できます。そして、適切な養殖管理を実施し、へい死被害などの軽減を図ることを目指します。
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