Contentservは2024年10月25日、カンファレンス「Product Experience Summit Tokyo 2024」を開催しました。商品情報を集約、活用できるようにするPIM(Product Information Management)にまつわる6つのセッションを用意。会場に集まった120人以上の聴衆に、PIMを使った変革の必要性を提起しました。
PIMを使って顧客体験を高める施策に舵を切れ
世界中を席巻する日本のコンテンツをヒントに、日本ブランドを再興せよ――。
イベント冒頭に登壇したContentserv 代表取締役社長の渡辺信明氏は、聴衆に向かってこう強く訴えました。海外で圧倒的な評価を受ける日本の食文化やアニメ、漫画などに追随し、「メイドインジャパン」ブランドを復活させるべきと強調。その源泉となるのが、商品情報を管理、活用するPIMだと述べました。
PIMは商品画像や説明文はもとより、設計書や図面、仕様書、キャッチコピーなどのデータを管理、活用するソリューション。在庫や原価、部品情報といった基幹システムが管理するマスタデータ以外の情報を主に管理し、一元化したデータに基づくプロモーションやキャンペーン、販売促進などを可能にします。
渡辺氏は、日本ブランド復活の鍵を「ハードウェアからソフトウェアへのシフト」(渡辺氏)と指摘します。具体的には「商品をどう周知するか、消費者の購買意欲をどう高めるか、自社ブランドのファンをどう増やすかといった顧客体験を向上させる施策を打ち出すべきだ。さまざまなコンテンツを駆使し、顧客と徹底的に向き合う取り組みがビジネス変革の足掛かりとなる」(渡辺氏)と強調しました。顧客接点のある小売業に限らず、製造業を含むすべての業種で顧客体験向上を前提とした戦略を実施すべきと述べました。
情報のサプライチェーン構築が変革には不可欠
イベントの基調講演に登壇したのは、ミズノ グローバルデジタルDTC統括本部の芹澤剛氏。「ミズノのブランド戦略とGlobal PIMプロジェクト~導入実装のポイント・推進体制~」というテーマで、PIMの活用事例を紹介しました。ミズノでは、ブランド戦略の一環でContentservのPIM/DAM統合ソリューションを導入。効果的なマーケティング施策を展開するための手段として活用しています。
講演の冒頭、芹澤氏はPIMの注目度が以前より高まっていると指摘。「企画や開発、生産、調達、マーケティング、販売といった一連の工程を見ると、工程ごとに商品情報が分断している。これではCRMやMA、アプリなどのフロントシステムを構築しても、顧客が求める正しい情報を届けられない。さまざまなフロントシステムが登場する今、顧客体験を高めるためには正確で最新の商品情報こそが武器になる。競合他社に勝る強みとなるのが、PIMによる整理されたデータに他ならない」(芹澤氏)と述べました。
ミズノでは「CLUB MIZUNO」という会員数やECサイトの利用率をグローバルで増加させる手段としてPIMを活用します。PIMを導入する以前の状況について芹澤氏は、「ECサイトに商品情報を登録するだけで多大な時間と労力を費やしていた。必要な情報は散在し、最新かどうかさえ確認が必要だった。商品をアップデートしてもECサイトでは情報が更新されずに古いまま、というケースも少なくない。修正対応が後手に回り、正しい情報を届けられないもどかしさもあった。本来考えなければならないマーケティング施策に十分な時間を確保するためにも、商品情報を効率よく運用する環境整備が急務だった」(芹澤氏)といいます。
そこで同社は、システムごとに分断する情報を集約、管理する基盤としてContentservソリューションでPIMを整備。マーケティングや企画開発部門などが使用する業務システム、ERPやマスタデータ管理システムといった基幹システムと連携し、商品を取り巻くあらゆる情報をPIM経由で参照、活用できるようにしました。ECサイトとも連携し、ECサイトに掲載する商品情報をPIM経由で自動更新する仕組みも構築しました。「多くの企業はサプライチェーンを構築し、企画や開発、生産、販売などの工程の進捗を可視化できるようにしている。しかしPIMは、こうした一般的なサプライチェーンの用途とは異なる。いわば『情報のサプライチェーン』だ。商品のアイデア出しから購入後のユーザーフォローまで、上流から下流に至るすべての工程で一元化したデータを活用できるようにする。変化が激しく消費者のニーズを予測しにくくなった今こそ、市場で生き残るためには既存のデータ管理手法やプロセスにメスを入れ、変革を起こさなければならない」(芹澤氏)と強く訴えました。
講演では、PIM導入時に起こり得る課題にも言及。「PIMを導入したいと上長に提言しても、必要性が理解されないケースは少なくない。そんなときは、コストをどの程度削減できるのか、売上が何%アップするのかといった具体的で分かりやすい指標を示すべきだ。もっとも、すぐに理解を得られるわけではない。PIMを導入してどんな世界を描くのかを何度も言い続けることが大切である。繰り返し説明することで理解を得られるはずだ」(芹澤氏)と、上長からの承認を得る際の姿勢を説明しました。
さらに体制についても言及します。芹澤氏は、PIMの運用はIT部門や既存のビジネス部門が主導するだけでは難しいと指摘。組織を横断したプロジェクトチームを構築し、各部署のニーズや課題に柔軟に答えられるようにするのが望ましいと述べました。「PIMには多くの部署やシステムが関わる。それだけに各部署からの要望も多いし、課題も増える。要件が変わればプロセスの再設計が必要になるし、どんなデータをどのシステムに出力するか、データ同士をどうマッピングするのかも一度設定して終わりではない。PIMを柔軟に使いこなすためには開発と運用が密に連携する『DevOpsSec』の手法に基づき、アジャイルで運用する体制づくりが肝となる」(芹澤氏)と述べました。
マーケティング施策を高度化させるPIMの活用事例などを多数紹介
カンファレンスでは、PIMを使ったBtoBデジタルマーケティング戦略の事例を紹介したほか、マーケティング戦略を実現するために必要なPIMの活用方法、さらにはAIやRPAといった先端技術を使って顧客体験を向上させるときのPIMの役割などを解説するセッションも開催。Contentservの担当者が登壇したセッションでは、同社のPIMソリューション「Contentserv Product Experience Cloud 」の最新機能やマーケットプレイスとの連携機能を、デモを交えながら解説しました。
Contentservはカンファレンスを通じて、顧客体験向上に向けた施策の必要性を終始訴求。その効果的な切り札として、PIMによる商品情報管理がこれからの時代であると力説しました。
株式会社Contentserv
https://www.contentserv.com/ja/
本イベントはオンデマンドで視聴可能です。ご興味のある方は、こちらをご覧ください。
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