セールスフォース・ドットコムは2021年7月15日、同社のSalesforceプラットフォームにデジタルテレフォニーを統合する新しい機能を日本国内で提供開始したと発表しました。新機能の「Service Cloud Voice」は、音声をテキスト化して可視化するものです。それにより、企業のサービス部門は、応対品質や業務効率の向上が期待できます。また、顧客にまつわるあらゆる情報を元に、シームレスでパーソナライズされた顧客応対(顧客体験の提供)が可能になります。
新型コロナウイルスの流行によって、巣ごもり消費によるECサイトの需要の増加や、省庁や自治体が新型コロナウイルスに関連した業務でコンタクトセンターを設置することが増えています。その結果、コンタクトセンター自体の需要は増加していますが、その多くが労働集約型となっています。大人数の要員が限られたスペースでお客様対応を行うため、三密リスクが他の業務体系と比べても高いことが課題となっています。
CRM(顧客関係管理)プラットフォームのSalesforceを展開するセールスフォース・ドットコムは、1999年の設立以来、デジタル時代の企業と顧客をつなげるツールを提供しています。今回、Salesforceに統合されたService Cloud Voiceは、コンタクトセンターなどでの音声での電話業務を含めデジタル化する「デジタルテレフォニー」の機能です。
Service Cloud Voiceでは、デジタルチャネルやCRMデータに加えて、電話による音声での問い合わせが、エージェント(担当者)向けに1つのビューにまとめられています。担当者の画面には、リアルタイムのコール内容のテキスト化や、AIによって推奨される、次の手順(ネクストステップ)が表示されます。
また、Service Cloud Voiceと既存の電話システムを連携することで、電話対応を行うエージェントと各種のデジタルチャネルを統合することができます。それにより、迅速でスマートかつ、パーソナライズされた顧客体験の提供が可能になります。
Service Cloud Voiceの主な機能として、まず「クラウドシステムとの迅速な連携」が挙げられます。Service Cloud Voiceにより、クラウドのテレフォニーシステムとの連携を迅速に構築できます。
「オムニチャネル統合」の機能では、音声チャネルを、オムニチャネル(あらゆる方向での問い合わせ)に統合できます。音声、チャット、メールなどのすべての問い合わせを管理できるようになります。それにより、チャネルを横断し、パーソナライズされた顧客への対応が可能です。
また、スーパーバイザーは、より良いコーチング環境を利用できます。通話中のリアルタイムのフィードバックや、自宅やオフィスなどさまざまな場所で働くチームメンバーへの通話後のサポートも可能になります。
さらに「エージェント支援のためのAI機能」があります。リアルタイムでテキスト化される通話内容を分析し、次にとるべきアクションを推奨させたり、マクロを起動してワークフローを完了させることができます。それにより、後続の業務をより迅速に回すことが可能になります。そして、エージェントはより複雑な問い合わせ対応に集中できるようになります。
Service Cloud Voiceの提供は、2021年7月15日から。価格は、1ユーザーあたり月額6,000円(税抜)からです。
今回の発表では、「Amazon Connect」のテレフォニーサービスとの連携も発表されました。クラウドベースのコンタクトセンターサービスであるAmazon Connectに、あらかじめテレフォニーが統合された、Amazon Connectサービスのバンドルパッケージです。セールスフォース・ドットコムのエンジニアが、Salesforceプラットフォームとシームレスに統合するために構築した、テキスト化、ストレージ、音声ボットが含まれます。
同社は、AWS(Amazon Web Services)とグローバルで戦略的パートナーシップを結んでいます。今回の発表は、それに基づくSerivce Cloud領域における機能連携です。今後はパートナーシップをさらに強化し、日本市場の顧客のコンタクトセンターDXを推進していきます。