日本M&Aセンターは2022年4月19日、ITソフトウェア業界の経営者を対象に経営に関する意識調査結果を発表しました。全国の売上1億円以上10億円未満のITソフトウェア企業のオーナー経営者67人に聞きました。自社の経営課題や新型コロナウイルス感染症による影響、事業承継などを聞いています。
現在の経営課題について聞いた結果が図1です。
結果は「技術者が不足している」が69%でもっとも多く、前回(2021年)、前々回(2020年)に実施した調査結果同様、1位でした。2位は「営業力が不足している」(54%)、3位は「取引単価が低い」(34%)でした。依然として人材不足が業界全体の課題であることが窺えます。
では技術者を採用するにあたり、どんな点が当てはまるのかを聞いた結果が図2です。
人材採用においては、「採用は非常に難しく、全く採用活動が進んでいない」が37%でした。前回、前々回の25%より12ポイント上昇しています。「技術者の人数不足のため受注を控えたことがある」との回答も40%にのぼります。
新型コロナウイルス感染症が業績にどう影響しているのかを聞いた結果が図3です。業績回復には何が必要かを聞いた結果が図4です。
「業績が大幅に悪化している」と回答した割合29%で、2020年に実施した前々回調査時の6%から23ポイント増えています。前々回調査時にに顕在化していなかった問題が浮かび上がっていることが読み取れます。前回の調査と比較してさらなる成長のために既存事業へ注力する傾向も強まっています。
事業承継についても聞いています。事業承継を予定する時期を聞いた結果が図5です。新型コロナウイルス感染症の影響でどんな変化があったのかを聞いた結果が図6です。
結果は「5年より先」が32%でもっとも多く、「予定なし」も28%を占めます。その一方で、「1~3年以内」という回答が前回より増えています。新型コロナウイルス感染症による変化は、「事業譲渡の時期を明確に意識するようになった」と回答した人が5割を超えます。
事業承継の方法を検討する際に重視する点を聞いた結果が図7です。
「事業の成長」が54%でもっとも多く、「役員・従業員の理解を得やすい」(45%)、「企業理念、文化、社風が合う」(42%)が続きます。社内からの理解と両社の文化が合うことを大切にしていることが分かりました。