ドリーム・アーツは2022年2月24日、社員がアプリケーションを自ら開発する“市民開発”についての調査結果を発表しました。ノーコード・ローコードツールの導入状況や情報システム部門の役割などを聞いています。従業員数1000人以上の企業に所属する従業員1000人に聞いた結果です。
ノーコード・ローコードツールの取り組みと自身の関わりについて聞いた結果が図1です。
「すでに社内で市民開発に取り組んでいる」という企業は57%でした。「検討中」や「興味がある」と回答した、市民開発に前向きな企業は88%にのぼります。
具体的な成果として、45%が「業務部門が自らデジタル化したシステムやアプリケーションがある」と答えました(図2)。
市民開発を実施する企業の割合はさらに高く、72%がすでに業務部門が開発した何らかのシステムやアプリを運用していることが分かりました。
DXの取り組み状況とノーコード・ローコードツールの利用状況の関係を調べた結果が図3です。
DXを推進している企業の約5割(49.1%)が、ノーコード・ローコードツールを導入または検討中と回答しています。DXへの取り組みにおいてノーコード・ローコードツールの活用が進んでいることが分かります。
では、市民開発に乗り出した理由は何か。上位3位までの回答が図4です。
1位は「業務部門が求めるものを作成できる」(226人)で、2位は「コストダウン」(152人)、3位は「IT部門のリソースが足りない」(107人)という結果でした。ポジティブな理由が半数を占めていることが分かります。
一方、取り組む上でどんな課題を抱えているのか。その結果が図5です。
「業務負荷がかかる」が441人でもっとも多く、「リソースの不足」(401人)が続きます。さらに「品質のバラつき」(283人)、「システムが乱立、個別最適化されてしまう」(274人)も上位に入ります。市民開発を推進する上で、業務負荷やリソース不足に加え、品質のバラつき、システムの乱立・個別最適も課題として顕在化していることが分かります。
業務部門が開発したアプリを誰が管理すべきか。IT部門が管理すべきかどうかを聞いた結果が図6です。
結果は、74%が「IT部門が管理すべき」と回答しました。 業務部門側は自ら開発したシステムであっても、管理はIT部門に委ねたいと考えていることが分かります。
では、業務部門が固有で利用するアプリが乱立しないための施策はあるのでしょうか。施策の有無について聞いた結果が図7です。
「施策あり」と答えた企業の割合は55%でした。45%の企業が「施策なし」でアプリが乱立する状況を静観していることが推察されます。
「施策あり」と答えた企業に、具体的な乱立防止策を聞いた結果が図8です。
「サービス選定の承認フローの中に必ずIT部門を入れる」(321人)がもっとも多い結果となりました。システム・アプリの乱立が懸念されるも、現場部門やIT部門双方にとって、IT部門の役割が重要視されていることが分かります。