デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業が競争力を高め、顧客の期待に応えるための重要な戦略となっています。特に金融業界では、業務の効率化やデータの活用が求められます。その中で、静岡銀行はジールと連携し、MotionBoardを導入して営業活動のトランスフォーメーションを図っています。この記事では、その具体的な成果や導入の背景について詳しく解説します。
静岡銀行は、しずおかフィナンシャルグループの中核を担う地方銀行であり、地域社会のニーズに応えるべく「Xover〜新時代を拓く」という中期経営計画を策定しました。この計画では、2030年に向けた「サステナブルかつ幸福度が高まっている社会」を目指し、デジタルトランスフォーメーションを推進することを掲げています。特に営業活動のDX化は、「営業X」というテーマのもとに強化されており、データ活用基盤「S-hare」の構築や新しい営業支援システム「S-CRM」の導入が進められました。しかし、従来の運用では、銀行業務において不可欠な計数情報の可視化や、効率的な管理が十分ではないという課題が浮き彫りとなりました。
静岡銀行は、計数管理の高度化を求めてジールとの連携を決定しました。ジールはデジタルトランスフォーメーションを推進する専門的な知見を有しており、静岡銀行のニーズに合致したパートナーでした。今回導入されたのが「MotionBoard」で、これにより計数情報の可視化や効率的な管理業務が可能になったのです。MotionBoardは、多様なデータソースと連携し、容易にダッシュボードを構築する能力が特徴です。これにより、従業員は自分のデータを簡単に更新できるだけでなく、集計・分析も手軽に実行できます。使い慣れたExcelのような操作性も利用者に高い受け入れを得ています。
MotionBoardの活用により、静岡銀行の営業DXは大きく進展しました。特筆すべきは、計数管理業務の効率化が達成された点です。従来、各支店から本部への報告は多段階にわたって行われ、その結果、時間と労力が大量に消費されていました。しかし、MotionBoardを導入することで、関係者は瞬時に計数情報を把握できるようになり、報告プロセスが大幅に簡素化されました。これによって、重要な意思決定が迅速に行えるようになり、営業活動の効率も飛躍的に向上しました。行員は、これまでの報告にかかる時間を削減することができ、顧客との関係構築や地域貢献により多くの時間を使えるようになりました。この結果、中期経営計画に掲げる「地域社会の価値創造」という目標に対してもより多くの貢献が可能となりました。
静岡銀行は現在、他の地域金融機関と連携しながら、S-CRMを通じたデータ活用の取り組みを強化しています。データソースやノウハウを他機関と共有することで、お互いに補完しあうし、営業効率化を進めていく方針です。ジールには、MotionBoardの導入支援や、S-CRMの展開サポートに期待されており、さらなる地域活性化に向けた取り組みが続いていくことでしょう。ジールは、データ活用分野において30年以上の実績を誇り、企業のDX実現を伴走するパートナーとしてお客様の企業価値向上に貢献しています。今後も、集約したデータを活用できる社会の実現を目指して、積極的に取り組んでいく姿勢を示しています。
静岡銀行とジールの連携により、MotionBoardを活用した営業DXが実現され、業務の効率化や意思決定の迅速化がもたらされました。今後も、地域金融機関間でのデータ活用を通じたサステナブルな社会の実現に向けてさらなる発展が期待されます。
執筆:糸井貴行