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日本の従業員エンゲージメントは海外より低い、クアルトリクスがEXの調査結果を発表

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クアルトリクスは2022年2月17日、従業員エクスペリエンス(EX)に関する調査結果を発表しました。日本を含む世界27カ国・地域を対象にした調査で、従業員エンゲージメント低下の要因なども考察しています。

 従業員エンゲージメントのスコアを調べた結果が図1です。
図1:従業員エンゲージメントの変化

図1:従業員エンゲージメントの変化

 日本に限ると、従業員エンゲージメントのスコアは37で、2020年の45から8ポイント低下しています。これに対しグローバルの従業員エンゲージメントは66で、2020年の66から変化していません。  日本の従業員エンゲージメントは、従来から世界の主要国の中で低水準であることが知られています。今回の調査でもグローバル平均に対して日本の結果は大幅に下回っています。コロナ禍初期に取られた会社・組織による各種アクションが一巡し、2021年はその反動で低下したと同社は考察します。  従業員エンゲージメントを左右する要因について聞いた結果が図2です。
図2:従業員エンゲージメントのキードライバー

図2:従業員エンゲージメントのキードライバー

 日常業務を通してやりがいやワクワク感などの活力を得ていることが1位でした。将来に向けて自身のキャリアや会社に対する展望が、エンゲージメントのドライバーとして抽出されたことも特徴的です。  その他、自社の変革に関して適切な説明があるか、自社の価値観に共感できるかなど、会社全体の方針や考え方に対する納得感がエンゲージメントに刺激を与える要因であることも読み取れます。  では、継続して勤務する意向があるかどうか。その結果が図3です。
図3:継続勤務意向の変化

図3:継続勤務意向の変化

 日本に限ると、転職せずに働き続けたいと考えるスコアは70で、2020年の76から6ポイント低下しています。もっともグローバルでも2020年から5ポイント下がった65となっています。  日本は一般的に、海外と比べて転職の動きはそれほど活発ではありません。コロナ禍で転職の時期をずらした人も少なくないでしょう。  そんな中でも今回の調査結果では、企業に長く在籍しようという考えが日本でも弱まっていることが分かります。特に、若年層の継続勤務意向は弱い傾向がみられます。欧米同様の「大量退職時代」が日本で起こるのは考えにくいものの、きっかけがあれば転職を考える人が増えると同社は見ています。  従業員はリーダーやマネージャーに信頼感を持っているのか。その結果が図4です。
図4:リーダーシップへの信頼感の変化

図4:リーダーシップへの信頼感の変化

 日本に限ると、信頼感を示すスコアは36で、2020年の44から8ポイント低下しています。これに対しグローバルのスコアは67で、2020年の63から4ポイント増加しています。  リモートワークの定着に伴い、業務の進捗管理、連携の促進、戦略や経営理念の浸透、業務分担、業績評価、スキルアップ支援など、リーダーやマネージャーの仕事は難しくなりつつあります。そんな中、今回の調査結果では、リーダーシップへの信頼感は低下していることが分かりました。  一方、会社・組織がこれらの課題をマネージャーの力量のみに頼っていることも特筆すべきです、マネージャーの負担は増大し、対応しきれなくなる状況が発生する可能性も考慮しなければなりません。例えば、マネージャーが的確なリーダーシップを発揮するためのトレーニングを提供する、処遇や職責範囲の調整などを通した支援を実施するなどを考えるべきでしょう。対策なしに力量頼りでは、従業員よりも先にマネージャーが疲弊してしまうことになりかねません。  従業員に自社のIT環境が期待通りかどうかを聞いた結果が図5です。
図5:IT環境に関する期待とのギャップ

図5:IT環境に関する期待とのギャップ

 日本では、自社のIT環境が期待通りと捉えている従業員はわずか10%に過ぎません。アジア主要国と比べても、日本のIT環境が大きく遅れている可能性があります。日々の業務のやりにくさが長期間にわたって蓄積すれば、生産性や業務負荷に直結します。さらにはエンゲージメントにもマイナスに作用しかねません。  D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進状況は各国と比べてどうか。その結果が図6です。
図6:D&I推進の取り組み姿勢

図6:D&I推進の取り組み姿勢

 日本企業のD&I推進活動はまだ大きく遅れているのが現状です。日本では「D&I推進」の掛け声は聞こえてきますが、アジア大洋州の主要国と比べても従業員からみた進展度合いは不十分です。、経営陣の取り組み姿勢も弱いといえます。革新的な商品・サービスを生み出す上でD&Iが不可欠であることはもちろん、能力のある従業員を定着させる上で多様な人材の受け入れは重要な課題である、と同社は指摘します。  ではウェルビーイングには変化があるのか。その結果が図7です。
図7:ウェルビーイングの変化

図7:ウェルビーイングの変化

 日本のスコアは45で、2020年より16ポイントも低下しています。大してグローバルのスコアは72で、2020年と変化はありません。  WHO(世界保健機構)によると、「ウェルビーイング」は「肉体的、精神的、そして社会的に全てが満たされている状態」と定義されています。コロナ禍でリモートワークが定着するに伴い、各従業員がバラバラで働く機会が増加する中、いかに同僚との連携を維持し、心身ともに健全な状態で仕事上の困難に立ち向かうのかと考えると、その前提となるウェルビーイングが注目されるのも納得できます。実際、ウェルビーイングを端的に示す設問である「仕事から得られる活力」は、前掲の通りエンゲージメントのトップドライバーになっています。  しかし、日本の調査結果をみると、ウェルビーイングは大幅に低下しています。一般に、職場におけるウェルビーイングは、個人の立場の尊重、組織への帰属意識、担当業務に対するやりがいなどによって影響を受けると考えられます。こうした要素を大事にしながら、従業員が心身ともに健康で、信頼関係を築きながら、イキイキと働ける職場の実現が望まれます。

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