衣服の生産からEC販売・配送までをワンストップで提供、依頼者と生産者を結ぶクラウドで企業のDX推進を支援

　衣服・ライフスタイル業界の産業構造を変える…。デジタルを活用し、こうした改革に乗り出すのがシタテルです。同社は「ひと・しくみ・テクノロジーで衣服の価値を変える」といったミッションを掲げ、衣服の生産からEC販売・配送までをワンストップで支援するクラウド型プラットフォーム「sitateru CLOUD」を提供します。 　衣服などを作りたい事業者と作り手側である生地メーカーや資材メーカー、縫製・加工工場などのサプライヤーが、システムを介してコンタクトできます。同社は、多重構造化する衣服・ライフスタイル製品のサプライチェーンを可視化し、衣服などを作りたい企業とサプライヤーが、シームレスに繋がることができる環境構築を目指します。 　同社の代表取締役CEOの河野秀和氏は、「生産工程が細かく分断することによるコスト高、在庫過多による低い営業利益率、非デジタル化による低い労働生産性など、業界固有の課題を解消したかった」といいます。100枚以下では生産しない工場、卸売り業者や商社を経由しないと依頼できない工場などといった個社ごとの事情もプラットフォームで吸収し、これまでにない「衣服生産プラットフォーム」の構築を進めます。 　受注生産による「在庫ゼロ」を目指せるのもプラットフォームのメリットです。sitateru CLOUDはECの機能を備え、事前設定した数の注文に達すると生産し、購入者のもとへ配送する仕組みも備えます。一般企業や自治体、ゲーム会社など、ECを持っていない非アパレル事業者でも簡単にECサイトを構築でき、衣服などを生産・販売可能です。「企業が消費者に直接販売するDtoCビジネスでの利用も想定する。現にDtoCビジネスを展開する企業からの問い合わせも増えている。生産と販売・物流までの体制をワンストップで用意できるのが強みである」（河野氏）と強調します。 　同社はプラットフォームを活用し、衣服を扱う企業のDX推進も支援する考えです。「自社単独で生産や販売・物流までの体制を構築するにはコストも時間もかかる。当社のプラットフォームを使って生産や販売・物流までのすべての体制を構築すれば、マーケティングなどの販促領域により注力できる。衣服の生産から販売・物流に伴う手間をプラットフォームで簡略化し、利用企業の事業拡大を手助けしたい」（河野氏）と今後を見据えます。

本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」（守屋実監修）