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連載

自動車整備士と出張修理を頼みたいユーザーをWebでマッチング、旧態依然の商習慣をデジタル駆使して改革

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DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。「DXスタートアップ革命 第2回」は、自動車の整備・修理の出張サービスを手掛けるSeibii(セイビー)。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。同社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

 自動車の修理や整備、車検などの「アフターマーケット」を変革する――。こうした思いを持って事業を進めるのがSeibiiです。同社は2019年に創業したスタートアップ。自動車整備士がユーザー宅に出張し、ユーザーの駐車スペースで車検や整備、修理を実施する事業を展開します。整備士とユーザーを結ぶWebサービスを構築し、ユーザーが出張サービスを直接申し込める特徴を打ち出します。  代表取締役 CEOの佐川悠氏は、「自動車整備業は古い商習慣が今なお残る。マイカーを整備工場に持ち込み、作業が終了するまでユーザーは待たされている。料金体系も不明瞭だ。一方、自動車整備士も顧客の反応や評価を直接確かめられない。営業担当者経由で聞く依頼内容には無理なものが少なくない。これだけ大きな市場でありながら、ユーザーと業界の双方に課題が山積する。こうした課題を解決したかった」と、サービス提供の経緯を話します。  社名でもあるWebサービス「Seibii(セイビー)」は、同社創業から丸2年で契約整備士は約4倍、整備した自動車数(ユーザー)は10倍まで増えました。同社の年商も約5倍まで成長しています。  腕が良くて接客もできる整備士を集められたのがサービスの根幹だと佐川氏は分析します。「業界や働き方に課題を感じる整備士が当社のSNSなどを見て共感し、自然と集まってきた。業界を良くしたいという意識を持つ整備士の賛同を得られたことがサービス成功の要因の1つだ」(佐川氏)と言います。SNSを介したことで20~40歳代の若い整備士を集められたことも重要なポイントだと指摘します。  「Seibii」では「異常・故障診断」や「バッテリー交換」「ドライブレコーダー取付」など、約20のメニューを用意。ユーザーはメニューを選択すると、出張費・工賃込みの合計金額を画面上で確認できます。チャット機能を使い、整備士と具体的な修理箇所を相談することも可能です。ユーザーが整備士を評価する機能も備えます。「当社には営業担当者や工場はない。販管費や人件費、設備費を抑えた分、マイナス分を料金設計に反映できた。評価制度は整備士のモチベーションアップにつながっている 」と、サービスのメリットを強調します。  同社は今後、現在のサービスを基点に事業の拡大を見据えます。「整備工場のDXを支援したい。Seibiiを通じて得られたユーザーの自動車情報を、保険やロードサービスに役立てることも検討する。さらには海外展開も視野に入れる」と、佐川氏は今後のビジョンを掲げます。
Information
企業/団体名 株式会社Seibii / Seibii, Inc.
所在地 東京都港区
事業内容 自動車の整備・修理出張サービスの開発・運営
取り組む課題 古い商習慣の残る自動車整備業界が抱える顧客ペインや産業的課題を解消し、ユーザー視点の仕組みとテクノロジーでモビリティに関わるあらゆる体験をリデザインしたい
解決策 自動車整備士と出張整備・修理を依頼したいユーザーをマッチングするWebサービスを構築する
本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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筆者プロフィール
守屋実
1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。

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