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連載

アナログなデザイン制作をAIを使って変革へ。業界の課題解消に“デジタルモノづくり”を推進

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DXで事業を創出、もしくは事業を拡大した企業はどんな点に気を付け、成功へと突き進んだのか。「DXスタートアップ革命 第3回」は、LPやバナー、動画などのコンテンツをAIで制作するサービスを提供するガラパゴス。業界の課題にどう切り込み、DXをどう進めていったのか。同社の取り組みを紹介します。なお、本連載は日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」の内容をもとに編集しております。

 デザイン領域にDXを。アナログだったデザイン制作をAIを使ってデジタル化しようとするのがガラパゴスです。同社はWebマーケティングに欠かせないランディングページやバナー、動画を短期間で制作するAIサービス「AIR Design」を強みに打ち出します。AIR Designでは約30万のデザインデータをデータベース化。利用者のアクセス傾向を解析し、導出した結果からマーケティング効果の高いデザインパターンをAIで予測するのが特徴です。「このターゲットにはこのデザインが有効」と推測してからデザイン制作を進められるのがメリットです。  同社代表取締役社長の中平健太氏には、従来のデザイン産業の構造を変えたいという思いがあります。「デザイン業界は華やかに見えるが、デザイナーの長時間労働が常態化し、値切りや不払いも少なくない。これらの原因はすべて仕組みが悪いから。こうした環境を変えるには社会構造から変えなければと考えた」(中平氏)といいます。さらに、デザインを判断するクライアントが自分の好みで良し悪しを決めていることも課題として指摘します。「良いデザインの正解は、クライアントの頭の中を再現したとしても存在しない。ならばマーケットデータから予測するしかない」(中平氏)と続けます。  こうした思いから着想したのがAIR Designです。人ごとに異なる評価ではなく、科学的な指標に基づき、顧客や市場に合うデザインを制作できる点を中平氏は訴求します。さらにAIR Designを使えば、大量のデザイン案をもとにしたA/Bテストも可能。CVRやCTRの改善を効果的に実施できるため、マーケットのニーズに合うデザインを効率よく発信し、Web広告の投資対効果も高められます。なぜその商品やサービスを購入・導入するのかも推測できることから、顧客の理解も深められます。2019年に提供を開始したAIR Design。その1年半にはすでに220社の導入され、確実に認知されつつあります。  同社は今後、国内のインターネット広告にも踏み込んでいく考えです。さらに「営業資料のデザインに加え、PR資料やIR資料のデザインもマーケットとしてとらえる。何かを見せるためのデザインはすべて対象だと考える。その市場規模は10兆円あると見込む」(中平氏)と、マーケット拡大を視野に入れます。
Information
企業/団体名 株式会社ガラパゴス
所在地 東京都千代田区
事業内容 スマートフォンアプリサービス制作・運営、AIR Design(AIを使ったデザインサービス)
取り組む課題 アナログなデザイン制作の現場を変えたい
解決策 AIを使ってマーケティング効果の高いデザインパターンを予測するサービスを提供する
本連載は、日本経済新聞出版刊行の「DXスタートアップ革命」の内容を一部編集したものです。
日本経済新聞出版「DXスタートアップ革命」(守屋実監修)
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筆者プロフィール
守屋実
1992年、ミスミ入社、新規事業開発に従事。2002年、新規事業の専門会社エムアウトをミスミ創業者の田口弘氏と創業、複数事業の立ち上げと売却を実施。2010年、株式会社守屋実事務所を設立。新規事業創出の専門家として活動。ラクスル、ケアプロの立ち上げに参画、副社長を歴任後、ジーンクエスト(ユーグレナグループ)、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会、サウンドファン、ブティックス、SEEDATA(博報堂グループ)、AuB、みらい創造機構、ミーミル(Uzabase グループ)、JCC、テックフィード、キャディ、セルムなど数々の企業の役員、理事などを歴任。JR東日本スタートアップのアドバイザー、JAXA上席プロデューサー、博報堂フェロー、内閣府の有識者委員などを務める。2018年にブティックス、ラクスルを2カ月連続で上場に導く。著書に『新しい一歩を踏み出そう! 』(ダイヤモンド社)。近著は『起業は意志が10 割』(講談社)。

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