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第5回 プロジェクトの推進

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前回までは、現状のシステムを見える化して課題を整理する手順について説明しましたが、最終回である今回ではプロジェクトを立ち上げ、将来のシステム像を描く進め方について説明します。

プロジェクトの立ち上げ

 経営層からプロジェクト化の承認が下りれば、具体的に専門の部隊を作って将来のシステムについて検討していきます。体制については新たに部署を作って取り組むやり方と、各部門の代表者を出して定期的に集まりプロジェクト化して進めるやり方がありますが、会社の状況によって使い分けています。

 プロジェクトリーダーにはメンバーを引っ張っていける人材や、最後まであきらめずにやり通す粘り強さを持った人材が適任です。プロジェクトメンバーは年齢や経験にとらわれることなく、現状を変えるという意気込みを持ったメンバーを集めることで、できれば立候補制にしたほうがプロジェクトはうまく進みます。様々な強みを持ったタイプの違うメンバーを集めたほうがいいですが、ネガティブな発言をする人も中にはいますので、プロジェクトを始める際に、「人の意見を否定しない、5分前に集合する、持ち帰らずに必ず決める」などプロジェクト内でルールを作って進めたほうがいいでしょう。

 プロジェクトの体制が固まったら、プロジェクトリーダーは今後の進め方について、目的や目標を設定し、体制や今後の進め方をドキュメント化したプロジェクト計画書を作成します。
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キックオフの実施とトップへの定期的な報告

 プロジェクトリーダーとメンバーが決定したら、関係者が集まってキックオフを実施します。キックオフはTOPが出席し、外部の会社がプロジェクトに入っている場合には、その会社の責任者(私は役員以上の方に依頼します)の方も参加したうえで、実施します。TOPの言葉一つで参加するメンバーのモチベーションは変わってきますので、プロジェクトリーダーはこの機会をうまく利用して、事前にTOPとすり合わせをしておくことも必要です。

 また、TOPへの報告は定期的に行うことも大切です。TOPへの報告を怠ると、プロジェクトが途中で頓挫することにもなりかねないので、うまくいっていても、うまくいっていなくても、定期的に報告を行います。キックオフの際に報告日と報告の概要をあらかじめ決めておくと、その日に向けて逆算でプロジェクトを進めるようになります。外部の会社が入っている場合には、その会社の責任者も入れて、定期的にステアリングコミッティを開催したほうがいいでしょう。外部の知見も取り入れられますし、問題が発生した際に、担当者の判断だけではなく、その会社の責任者の判断が得られますので、大きな課題を解決するのに役立ちます。
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周りを巻き込んでプロジェクトを進める

 プロジェクトを進めていくには周りの理解を得ることも大切です。特に新しいことを始める際には周りの理解がなかなか得られませんから、定期的に情報発信をしていくようにしましょう。各部門から代表者が出席している場合には、必ず部門に戻った際には、プロジェクトの状況を共有するのも有効です。プロジェクトを進める際に頭を悩ませるのは抵抗勢力の存在です。どこの会社にも必ず声の大きな抵抗勢力の方はいます。ただ、声が大きい分、理解された際には、大きな味方になることも事実です。抵抗勢力は早期の段階から巻き込むことを意識します。1回や2回ではなかなか受け入れてもらえないかもしれませんが、相手を理解してから理解してもらうなど、様々な手を使って巻き込む努力も必要になります。

将来のシステム像を描くポイント

 将来のシステム像を描く際には、過去のシステムの考え方とは違う思考での考え方が必要です。

 今まではスクラッチで開発を行い、業務に合わせたシステムを開発することが一般的でしたが、これからの時代はクラウドの標準機能を活用して、業務をシステムに合わせることが重要になります。クラウドサービスは日々進化していますので、標準のサービスを利用していると最新の機能や最新のセキュリティに対応したバージョンアップを受けられるなど様々なメリットがあります。フロントのシステムはその会社の差別化となるサービスが多いため、ある程度カスタマイズが必要かもしれません。基幹システムや管理システムは極力標準サービスを利用するようにし、もしカスタマイズの要望が出ても別システムに切り出して対応したほうが、コストや柔軟性を考えてもメリットは大きいでしょう。
 ここまで5回にわたってシステム診断について説明をしてきましたが、自分自身でも日々試行錯誤しながらプロジェクトを進めています。最近はコロナの影響もありテレワークが推奨されていますので、プロジェクトの会議をテレビ会議で行うことも増えています。テレビ会議にすることでメンバーの顔が見えやすかったり、資料が共有しやすかったりしますので、不便はあまり感じていません。コロナで業務変革が必要になっている今こそ、現状の仕組みを見直し、プロジェクトを進める好機だと感じています。

(おわり)
岡村 克久(Katsuhisa Okamura)

1993年(株)オービックにてSEとしてシステム開発に従事。2000年(株)イーショッピング・ブックスに入社しECサイト開発に携わる。2008年(株)セブンアンドアンドワイ システム開発部部長就任。2015年(株)セブンアンドアイネットメディア執行役員就任。オムニチャネル戦略の開発PMを務める。2017年同社を退社。2017年デジタルシフトウェーブ入社。同社取締役に就任。
■上記の著者へのDX相談・講演等の依頼は、こちらから

株式会社デジタルシフトウェーブ

https://www.digitalshiftwave.co.jp/
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