サイボウズ株式会社は2026年4月10日、愛媛県松前町と連携協定を締結し、地域全体でkintoneを活用する共同実証実験「チームワークシティまさきプロジェクト」を開始しました。実施期間は3年間を予定し、行政・団体・住民が情報共有と協働を進められるモデルの構築を目指します。協定に先立つパイロット試行では、役場内で年間約1,000時間の工数削減、約2,500枚の紙の削減、約2,000万円の委託費削減が見込まれる効果が確認されています。町立保育所や指定管理事業者、祭りの実行委員会など役場外でも活用が進み、地域協働の可能性が示されました。今後は役場DXの加速から着手し、段階的に住民や地域組織へ活用範囲を広げ、「まちまるごとDX」の実現を目指すとしています。期間中は毎年度の成果報告に基づき継続可否を判断します。
連携の背景 地域全体を一つのチームへと導くためのアプローチ
サイボウズは「チームワークあふれる社会を創る」を掲げ、クラウドサービスで組織の情報共有や対話を支援してきました。ツール提供だけでは社会全体のチームワーク実現には不十分と捉え、2025年7月に「チームワークあふれるまちづくり室」を新設し、地域社会の仕組みや文化づくりへの取り組みを開始しています。松前町は将来像として「生きる喜び あふれる まち まさき」を掲げ、人口減少や少子高齢化、防災と安全、ICTやAIの活用、子育てと学び、地域共生、循環型社会、持続可能な地域運営といった課題への対応を重視してきました。こうした課題認識と、地域全体を一つのチームとして機能させる構想が合致し、今回の連携協定に至りました。連携により、町内の行政から地域団体、住民までが同じ基盤で情報を共有し、対話を進める環境づくりが狙いとされています。サイボウズ製品を媒介に、ガバナンスと現場の協働を両立させるモデルの確立を目指します。
協定の概要と体制 役場DXから地域協働へ段階的に拡大
協定では、松前町がkintoneおよび関連製品を用いて役場内のDX推進、地域のチームワーク活動支援、住民の福祉と生活利便性向上を実施します。サイボウズはkintoneおよび関連製品の利用許諾と運用支援を担います。期間は3年間と定められ、毎年度の成果報告に基づいて継続可否を判断します。初期フェーズは役場の業務プロセスを中心に効率化を図り、効果検証を踏まえて地域の人や組織への展開を進める方針です。行政と地域組織の双方が同一のプラットフォームを活用することで、手続きや情報伝達の重複を抑制し、問い合わせや調整の迅速化が期待されます。共通のアプリやワークフローを通じて、計画から実行、振り返りまでのPDCAを一元的に進める環境が整備されます。役場発の取り組みを核に、町全体のチームワーク醸成へと発展させる段取りです。
パイロット試行の成果 業務効率化とコラボレーション拡大の手応え
2026年1月から3月にかけて実施されたパイロット試行では、役場内で年間約1,000時間の工数削減が見込まれ、業務の生産性向上に一定の効果が確認されました。約2,500枚のペーパーレス化の見込みが示され、申請や報告のデジタル化による紙資源の削減が進む見通しです。さらに、約2,000万円の委託費削減が見込まれ、外部委託に依存していた一部の業務が内製化や効率化によりコスト低減の対象となりました。役場外では、町立保育所、指定管理事業者が運営する公園や体育館、文化センター、お祭り「まさきエンタメフェスタ」の実行委員会などで活用が広がり、運営連絡や情報共有の円滑化が進みました。行政領域に限らず、地域行事や施設運営の現場でも同一基盤による連絡や進捗管理が機能した点が特徴です。複数主体が関与する案件での連絡漏れ抑止や、意思決定の迅速化につながる効果が示されました。
今後の展望 役場DXの加速から「まちまるごとDX」へ
パイロットで得られた手応えをもとに、まずは役場の業務領域でkintone等の活用を加速させ、標準的な業務アプリやワークフローの整備を進めます。その後、地域の人や組織への活用を段階的に拡大し、行政と地域が同じ基盤でやり取りできる体制を整えます。最終的には、全町民と町関係者がkintoneを活用し、主体的に地域課題解決に取り組める「まちまるごとDX」の実現を目標に据えています。期間中は毎年度の成果をレビューし、継続や拡張の可否を判断する仕組みが設けられています。行政と地域団体が共有するアプリ群の整備は、災害時の情報伝達や生活利便性の向上に資する効果も見込まれます。協定を通じて、地域の情報基盤とチームワークの相乗効果を高めるモデルケースの確立が期待されます。
締結式の概要と体制の象徴性 共同実証に向けた姿勢の表明
締結式には松前町長の田中浩介氏とサイボウズ代表取締役社長の青野慶久が出席しました。両者が並んで協定締結に臨んだ様子が示され、地域と企業が対等な立場で取り組む姿勢が強調されています。プロジェクトは「チームワークシティ」という名称が示す通り、多様な主体が連携し課題解決に向かうことを前提としています。協定文に明示された役割分担は、実装と運用の責任範囲を明確にし、合意形成の基盤として機能します。サイボウズが利用許諾と運用支援を担い、松前町が業務の現場実装を主導することで、効果検証と定着の両面を進める構成です。期間を区切った共同実証により、成果に応じた柔軟な拡張や見直しが可能になる体制が整えられています。初動からの具体的な成果が示されたことで、次段階への展開が視野に入ります。
詳しくは「サイボウズ株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















