商談で本題に入るタイミングが分からないという人は多いはず。早すぎても遅すぎても相手に違和感を与えかねないことから、適切なタイミングを見計らわなければなりません。では、そのタイミングをどう見極めればよいのか。どんな流れで本題に入るのが望ましいのか。本題にスムーズに入るために必要な場づくりについて考えます。【週刊SUZUKI #167】
商談では、挨拶や雑談から本題へ移るタイミングが重要です。この切り替えを誤ると、それまでの良い雰囲気が崩れ、相手に違和感や不信感を与えてしまいます。早すぎると「売り込みたいだけではないか」と受け取られ、遅すぎると「何の話をしに来たのか」と相手に無駄な時間を使わせている印象を与えかねません。
本題に入る適切なタイミングは、会話がキャッチボールのように自然に続いていると確認できたときです。お互いが言葉を交わしながら、無理なくキャッチボールが成立している状態が整って初めて、本題に進む準備ができたといえます。
このようなキャッチボールの状態とは、こちらが話すだけでなく、相手からも質問や意見が出てくるような、双方向のやり取りができている場面を指します。相手が関心を示し、自分の経験や考えを話し始めるとき、すでに対話の土台はできています。営業と顧客という関係を超え、落ち着いて話ができる関係が生まれている状態です。具体的には表情が和らぎ、声の調子が安定し、会話のリズムが合ってくることで、キャッチボールもよりスムーズになります。このような変化を確認して初めて、次の話題に進むことが適切だと判断できます。なお、相手の発言内容だけでなく、うなずきや視線の動きにも注意を向けることで、より正確に状態を把握できます。
本題へ移る際は話題を急に変えず、これまでの会話の流れを踏まえて自然につなげることが大切です。キャッチボールの流れを途切れさせないように、先ほど出た話題に触れながら、それが今回の提案に関係していることを示すようにします。これにより、相手にとって無理のない形で本題に入ることができます。本題は一方的に持ち込まれた話ではなく、これまでのキャッチボールの延長として受け止めてもらうことが大切です。こうすることで、相手は自分の話がきっかけになっていると感じ、その後の説明に納得感を持ちやすくなります。話題のつなぎ方が自然であるほど、相手は違和感なく話の展開を受け入れ、理解も深まりやすくなります。
本題に入るタイミングを見極めるには、相手の時間を大切にする意識が必要です。相手とのキャッチボールが十分に続き、話を受け入れやすい状態になるまで待つことが重要です。場の雰囲気が整い、落ち着いて話ができると判断できたときに本題に入ることで、相手にも負担をかけずに話を進めることができます。
キャッチボールのリズムを意識しながら適切なタイミングで切り出すことが、商談全体の質を高めることにつながります。このような進め方は一度きりの商談にとどまらず、継続的な関係づくりにも良い影響を与え、次回以降の対話も円滑に進めやすくなります。
【営業の心得 その10】

筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。





















