就職が「ゴール」ではなく、自分らしい「人生のポートフォリオ」を組むための「スタート」へと定義し直された2026年。株式会社キャリタスが公表した入社直前の学生意識調査は、これからの日本社会を形作る「ソーシャル・バリュー」の変遷を鮮明に映し出しています。若者たちが企業に求めているのは、自分自身のキャリアアップやライフプランを尊重し、公私の幸福を両立できる環境としての機能です。
勤続意識の「流動化」:自己実現を最優先するキャリア・オーナーシップ
かつての「石の上にも三年」という規範は、今や「成長が止まるなら次へ」という合理的なキャリア観へと塗り替えられています。
- 予定勤続年数の二極化:新卒で入った企業に「定年までいたい」と願う層は少数派となり、「キャリアアップのための数年」と割り切る層が拡大。これは、労働市場の流動化という社会構造の変化を、学生たちが敏感に察知し、自律的な「キャリア・オーナーシップ」を握ろうとしている現れです。これは、学生たちが将来のキャリアを自分自身でコントロールしようという意識を強く持っていることの現れです。
- 退職理由の予見性:「人間関係」や「給与」だけでなく、「自分の成長が実感できない」「市場価値が上がらない」といった「自己研鑽の機会損失」を退職理由に挙げる傾向が強まっています。企業は、学生が納得して働き続けられ、自身の成長を実感できる場を提供することが求められています。
世帯スタイルの「共創」:共働き・共育がデフォルトの社会観
ライフプランにおいては、性別役割分業の意識がさらに希薄化し、パートナーと共にキャリアと家庭を構築する「共創型」の志向が鮮明です。
- 希望する世帯スタイル:男女ともに「共働き(ダブルキャリア)」を希望する割合が圧倒的です。これは経済的な安定に加え、パートナーと共に働き続けることで生活を支え合い、多様なライフスタイルを実現しようとする意識の高さを示しています。
- 将来子どもを持つことと育休:子どもを持つことへの前向きな意欲とセットで、「男性の育児休業取得」はもはや希望ではなく「当然の権利・義務」という社会通念(ソーシャル・ノーム)にまで昇華されています。これを阻害する企業文化は、深刻な採用難というペナルティを受ける時代です。
「透明性」を求める企業研究:認定マークよりも「実態」を注視
就活中の学生たちが重視するのは、企業が掲げるスローガンではなく、第三者が保証する「客観的なデータ」と「現場のリアル」です。
| 調査トピック | 社会的背景と学生の視点 |
| 企業研究の着眼点 | 離職率、有休消化率、育休復帰率などの「実数値」をシビアにチェック。 |
| 認定マークの認知度 | 「くるみん」や「えるぼし」等のマークは認知されているが、それ以上に「実際に男性が育休を取っているか」等の「運用実態」が重視される。 |
| 男女差の経験(図表5) | 面接での質問内容や採用コースにおける微かな「男女差」に敏感。選考過程における性別による扱いの差などは、学生が企業を評価する際の重要な判断要素となっています。 |
2026年卒が求める「ウェルビーイング・ガバナンス」
今回の調査結果を総括すると、2026年卒の学生たちは、自身のキャリア形成とライフプランの設計をどちらも重要なものとして並行して考えています。
企業からもっと発信してほしい情報として「若手のリアルなキャリアパス」や「柔軟な働き方の具体例」が挙げられている点は、彼らが「自分の一生を会社に預けるリスク」を回避し、いかに高い解像度で自分の人生を設計しようとしているかの証左です。
企業側に求められているのは、もはや「手厚い福利厚生」という餌ではなく、一人ひとりの多様なライフプランを尊重し、並走する「ソーシャル・パートナー」としての覚悟なのです。
見解として、「新卒入社した会社で何ができるか」だけでなく、「その会社を出る時にどんな自分になっていたいか」を考える学生が増えたのは、ある意味で非常に健全な社会の進化だと感じます。
特に「男性の育休」や「共働き」が当たり前の前提となっている点は、これまでの「会社人間」モデルが完全に崩壊し、新しい「生活者中心」の労働文化が定着したことを示していますね。
詳しくは、「キャリタス」の公式サイトまで。レポート/DXマガジン編集部





















