高齢化が進む日本の医療課題に向けて、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、富士通株式会社、ソフトバンク株式会社の3社が健康・医療分野での業務提携に合意しました。3社は2026年5月18日に基本合意書を締結し、国産のヘルスケア基盤を国内データセンター上に構築すると発表しています。本人同意に基づく医療データと個人の健康データを安全に扱い、AIエージェントとユーザーアプリで日常の健康管理から受診、治療後のフォローまでを一体で支える構想です。検査や投薬の重複抑制や通院中断の重症化防止などにより、将来的に5兆円規模の医療費増加を抑制することを目指します。あわせて、6,000万人規模の利用拡大と4,000の医療機関導入を掲げ、医療の質とアクセスの維持向上に取り組む計画です。誰もが必要な時に適切な医療を受けられる体制を支えるための実装が進みます。
国産ヘルスケア基盤の狙いと社会的背景
日本では65歳以上が全人口の約30%に達し、救急医療や在宅医療、慢性疾患の継続対応など医療現場の役割は高度化と複雑化が進んでいます。限られた医療資源を有効活用しつつ、健康増進と予防で健康寿命を延ばす仕組みが求められてきました。有効な手立てとして、日常生活を含む継続的な健康情報を把握し、重症化予防へ結びつけるデータ活用が重要とされています。その一方で、医療データは標準化が道半ばで、個人の健康データはサービスごとに分散し、両者の連携が十分ではありませんでした。さらに、海外基盤の利用拡大に伴い、機微な健康・医療データの取り扱いへの懸念や、データ主権と経済安全保障の課題も指摘されています。3社はこうした課題に対処するため、国内に完結した安全な環境でデータを適切に利活用できる国産基盤の整備に踏み出しています。
データプラットフォームとユーザーアプリの構成
提携の中核は、医療情報システム内の医療データを安全かつ適切に扱うデータプラットフォームです。本人同意と関係法令やガイドラインに基づき、必要な範囲でデータを連携・参照し、標準化と構造化を進めます。これにより、医療機関や民間事業者と相互に連携できる基盤を構築し、AIやデータを活用した高度な臨床、研究開発、医療機関の運営改善を支援します。さらに、全国医療情報プラットフォームやマイナポータルなどの公的基盤との将来的な連携可能性も視野に入れ、医療DX政策と整合した拡張性のある枠組みを目指します。加えて、個人が管理する健康データを組み合わせ、個々人に寄り添うAIエージェントをユーザーアプリで提供します。ユーザーアプリ内で同意を取得し、その範囲でデータを利活用することで、日常の健康管理から受診、継続ケアまでを一体的に支援する体験を提供します。
医療費抑制とサービス創出の具体的な方向性
重複検査や重複投薬の抑制、通院中断に伴う重症化の防止、予防可能な疾患やフレイルの進行抑止などに資する新たな事業の創出が計画されています。これらの取り組みは医療提供の効率化を後押しし、将来の医療費増加における5兆円規模の費用抑制を見込みます。データのセキュリティと主権を担保しつつ、生活や公共、決済サービスと連携した新しいヘルスケアサービスの検討も進める方針です。医療の質やアクセスの維持向上と費用抑制の両立を掲げ、実装可能なサービスの普及を目指します。企業の健康経営も視野に入れ、従業員のウェルビーイング向上を支援する取り組みを進展させます。個人や医療機関、自治体との連携により、多様なサービスを一つのアプリで利用できる環境づくりを推進します。
3社の役割分担と実装計画
SMBCグループはサービスの普及拡大と、ヘルスケアと金融の連携による価値向上を担います。Oliveなどのデジタル接点を活用し、2026年3月に開始したソフトバンクとの「Oliveヘルスケア」をさらに普及と発展へ導きます。医療機関での後払いサービスの普及に加え、将来的にはお金と健康の双方で安心を提供できるサービス創出を進めます。富士通はデータプラットフォームの構築と管理、医療機関向けAIの構築、創薬研究に必要な次世代計算資源や基盤の開発を主導します。電子カルテの国内トップシェアに加え、医療特化型LLM「Takane」やHealthy Living Platformで培ったデータガバナンスとセキュリティ、ソブリンクラウドの知見を活用します。ソフトバンクはPayPayやLINE、Yahoo! JAPANの利用者基盤を活用し、ソブリンクラウドと国産LLMを用いた国内完結のユーザーアプリ開発と提供を主導します。
普及目標と今後の展望
3社は顧客接点を生かし、国産ヘルスケア基盤の利用を6,000万人規模へ拡大し、4,000の医療機関への導入を目指します。個人の健康増進や行動変容の促進、疾病リスクの把握につながる支援を高度化し、日常から受診、治療、フォローアップまでを安心安全に支える環境を整備します。データ標準化の推進と相互連携の実現により、臨床や研究、運営の高度化を支援し、医療の持続性に貢献します。ヘルスケア事業者や自治体との連携も強化し、一つのアプリで多様なサービスを利用できる利便性を高めます。結果として、国民の健康を支援しつつ医療機関の経営を支え、日本の医療費抑制に寄与する基盤の確立を進めます。取り組みは国内データセンター上で完結し、情報の機微性に配慮した安心のデータ活用を実現します。合意締結を起点に、段階的な機能拡充と連携拡大が期待されます。
詳しくは「株式会社三井住友フィナンシャルグループ」「富士通株式会社」「ソフトバンク株式会社」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















