2026年の夏、サラリーマンの懐を潤すボーナス戦線に異変が起きています。平均支給額は47.7万円と前年を上回り、一見すると景気の良い数字が並びます。しかし、帝国データバンクの最新調査が明かしたのは、深刻化する「大企業と中小企業の格差」と、遠く離れた「中東情勢」が日本の現場のボーナスを直撃しているという、冷酷な二極化の現実でした。
平均支給額は1.8万円アップの47.7万円。しかし足元で広がる13ポイントの「規模間格差」
株式会社帝国データバンクは、全国1,043社を対象に実施した「2026年夏季賞与の動向アンケート」の結果を2026年6月11日に発表しました。調査によると、今年の夏に正社員1人当たりの平均支給額が前年より「増加する」と回答した企業は37.1%(前年比3.4ポイント増)にのぼりました。賞与を支給する企業全体の割合も85.0%へと上昇しており、正社員1人当たりの全体平均支給額は前年比1.8万円増の47.7万円を記録。「30万〜50万円未満」を支給する企業が37.0%で最多となっています。
この増額トレンドを後押ししているのは、好調な企業の「業績回復」だけではありません。現場からは「業績は厳しいが、物価高のなかで人材確保や定着率、従業員のモチベーションを維持するためにアップせざるを得ない」という悲痛な声も上がっており、防衛的な賃上げ・賞与増額に踏み切る企業が少なくない実態が浮かび上がっています。
しかし、その恩恵の割り振りは極めて不平等です。規模別に見ると、賞与が「増加する」と答えた割合は大企業で44.4%に達したのに対し、小規模企業では31.4%にとどまりました。その差は13.0ポイントにまで拡大しており、資金力や価格転嫁力に勝る大企業が待遇改善を牽引する一方で、中小・小規模企業が人件費負担の重さに苦しむ格差構造がより鮮明になっています。
「中東情勢」がボーナスにブレーキ?価格転嫁の成否と先行き不透明感がもたらす冬の不安
一方で、賞与が「変わらない(37.2%)」あるいは「減少する(10.7%)」とした企業からは、世界情勢の悪化に伴う強烈なコストプレッシャーへの恨み節が溢れています。
- 原材料・エネルギーの直撃: ナフサをはじめとする原材料価格の値上がりや品不足、化石燃料・包材の高騰が企業の利益を激しく圧迫。
- 中東情勢の緊迫化: 緊迫する中東情勢を背景に「先行きへの不透明感が強すぎるため、賞与を削って会社に資金をストックせざるを得ない」という経営判断が急増。
ある機械・器具卸売業者からは、「業績向上を受けて夏の賞与は増やしたが、中東情勢が不透明で、この状態が続けば冬季賞与は減額の可能性が高い」とのリアルな声も聞かれ、夏のプラス分がそのまま年間を通じた消費拡大へ繋がるかは極めて不透明な状況です。コスト上昇分を顧客へ適切に「価格転嫁」できている企業は還元に回せる一方、転嫁の遅れている企業や資材の調達遅延に直面している企業は、人材流出のリスクを怯えながらも支給を抑制せざるを得ないという、文字通りの「賞与の二極化」が進行しています。
平均支給額の上昇というマクロな数字の裏で、小規模企業の大半が「人材確保のための無理な増額」か「コスト高騰による減額」の二択を迫られている現状は、日本の雇用ガバナンスにおける深刻な歪みです。 地政学リスク(中東情勢)が仕入れ値を通じて個人のボーナスにまで直結する2026年において、持続的な待遇改善を可能にするのは、一過性の業績回復ではなく、外部ショックに耐えうるサプライチェーンの強靭化と、毅然とした価格転嫁の仕組み(ガバナンス)の確立に他なりません。
詳しくは「株式会社帝国データバンク」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部 戸田





















