Quemixと日産自動車株式会社は、量子コンピュータを活用した次世代の空力解析ソフトウェアに向けた共同研究を開始しました。早期誤り耐性量子コンピュータを想定し、車両の複雑な形状を扱える量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを開発したことが強調されています。量子シミュレータで検証し、古典コンピュータによる解析結果を高精度に再現できたことを確認しています。技術は自動車分野に限らず、航空や船舶、建築など複雑形状の流体シミュレーションに適用可能な汎用性を備えています。両社は成果に基づき共同で特許出願を完了し、今後は実用化と開発プロセスへの適用を推進する計画です。研究成果はQ2B 2026 Tokyoで発表予定です。
背景と課題
カーボンニュートラルの実現に向け、空力性能の向上は燃費や電費、航続距離の改善に直結する重要課題とされています。主流手法である格子ボルツマン法は広く使われていますが、量子計算への適用では境界条件の扱いが難点でした。従来の量子流体アルゴリズムは単純な立方体や規則的な格子を仮定する傾向があり、車両の複雑な曲面上の境界条件を量子計算のユニタリ演算に組み込むのが困難でした。非斉次な境界条件や複雑形状を正しく反映するには量子回路が膨大化し、現在および近い将来のデバイスでは計算負荷と精度の両立が難しいという壁がありました。今回の共同研究はこの制約を踏まえ、現実的な形状と条件に対応するための新手法に取り組んだとしています。今後の検討では、古典計算の参照解と照合する評価基準をあらかじめ設定し、検証ケースを段階的に拡張する体制整備が重要です。
開発技術と成果
新しい量子・古典ハイブリッドアルゴリズムでは、流入や流出、物体の移動に由来する非斉次項の処理を古典コンピュータが担当します。動かない物体の境界処理を含む流体計算の主要部分を量子コンピュータが担う設計とし、計算資源が限られる早期誤り耐性量子コンピュータでの実行可能性を確保しました。本アルゴリズムを車両の複雑形状を想定したケースで量子シミュレータにより実施し、古典的な解析手法と比較して高い再現性を確認しています。図示された流線図の比較では古典LBMと遜色ない精度が示されています。技術は汎用性が高く、航空や船舶、建築など複雑形状が関わる領域でも活用可能とされています。成果に基づき両社は共同で特許出願を完了し、知的財産の確保も進めています。実務では、幾何学的複雑度ごとにベンチマークを設け、量子シミュレータ環境で古典手法との誤差を継続評価する運用が有効です。
今後の展望
両社は共同研究を加速し、量子コンピュータ上での空力シミュレーションソフトウェアの実用化を目指します。実際の車両開発プロセスにおける空力解析への適用を推進し、自動車産業の計算技術におけるパラダイムシフトの牽引を掲げています。成果はグランドハイアット東京で開催されるQ2B 2026 Tokyoのケーススタディトラックで発表予定です。Quemixは量子技術の研究開発を行い、量子化学計算アルゴリズムPITEを開発し特許を取得しています。テラスカイの連結子会社として、2030年を目標に材料計算やシミュレーション領域での量子コンピュータ実用化を進めています。
詳しくは「株式会社Quemix」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部




















