日本では地震や台風、豪雨などの自然災害により、住宅や事業所の被害とともにローン返済が困難になる状況が生じます。そうした場合に活用できるのが「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」です。これは平成27年に策定され、平成28年から適用が開始された民間の自主的な枠組みです。対象となるのは、東日本大震災または平成27年9月2日以降に災害救助法が適用された自然災害の影響で、住宅ローンや事業性ローンなどの返済が困難になった個人や個人事業者です。法人は対象外となりますが、要件を満たす場合に破産や再生によらず、金融機関との合意で免除や減額の調整が可能です。個人信用情報への登録を避けつつ生活や事業の再建に向けた選択肢となります。
このガイドラインの主なメリットは三点あります。第一に、破産手続や再生手続と異なり、個人信用情報として登録されないため、新たな借入れへの影響を回避できます。第二に、国の補助により弁護士などの登録支援専門家が中立・公正な立場で無料支援を行います。第三に、預貯金など一部の財産を自由財産として手元に残せる可能性があります。いずれも被災後の資金繰りや生活基盤の再建に資する点が特徴です。利用に当たっては災害前の期限の利益喪失事由がないことや、債権者側にも経済的合理性が見込めることなどの要件が示されています。事業継続を図る場合は事業価値と再建可能性が必要とされます。条件を整理し、該当性を早期に確認することが重要です。
手続きの流れは段階的に進みます。まず、最も多額のローンの借入先である金融機関に手続き着手を申し出ます。次に同意が得られれば、地元弁護士会などを通じて運営機関に登録支援専門家の支援を依頼します。専門家の支援のもと、申出書や財産目録を整え、対象とする全ての金融機関等に債務整理の申出を行います。申出後は返済や督促が一時停止となり、資産や負債の維持が求められます。その後、免除や減額などを盛り込んだ調停条項案を作成し、全ての金融機関等へ提出して説明します。各金融機関は原則1か月以内に同意可否を回答し、全ての同意が揃えば簡易裁判所に特定調停を申し立て、調停条項が確定すれば成立します。結果として一定額の返済が必要となる場合もあります。
利用を検討する場合は、まず借入先の金融機関に相談することが案内されています。銀行が借入先であれば、一般社団法人全国銀行協会相談室でも問い合わせが可能です。また、東日本大震災の影響による返済困難については、令和3年4月1日以降も本ガイドラインで支援が継続されています。新型コロナウイルス感染症の影響に適用する特則も設けられています。制度の要件や手続きは明確に示されており、被災後の債務負担軽減と再建の道筋を整えるための実務的な選択肢となります。状況を整理し、必要書類の準備と並行して、専門家の支援を受けながら早めに手続きに着手することが有効です。
詳しくは「内閣府政府広報室」の公式ページまで。レポート/DXマガジン編集部






















