清流で育つわさびを人工環境で再現できるのか。株式会社KIBOUの植物工場「MUGEN FARM」は水耕技術で“沢”を再現し、2026年7月に導入した苗70本が約2カ月後も全株生育中と発表しました。気候変動で栽培環境が揺らぐ中、短期育成と高品質の両立に挑みます。研究の狙いと進行設計、初期成果を整理します。
“沢”の水流と環境データ制御で安定生育を実証し、短期育成と品質の両立に挑戦
株式会社KIBOUは大阪の研究開発拠点「MUGEN FARM」で、わさびの栽培研究を開始しました。目的は、気候変動下でも持続可能な栽培技術を確立し、日本の食文化を未来へつなぐことです。最初の研究対象に、冷たく安定した水温や豊富な水量を必要とし、気温上昇や渇水、豪雨の影響を受けやすいわさびを選定しました。2026年7月に苗70本を導入し、生育可否を検証した結果、約2カ月経過時点で死滅ゼロを確認しています。第一フェーズでは、ポンプで水を汲み上げ上部から落として循環させ、水中の酸素量を高め“沢”の流れを人工環境内に再現しました。併せて気温や湿度、CO2濃度、水温、pH、ECの各データを継続測定し、目標値に合わせた微調整を続けています。
研究は4段階で進行しています。Phase 1は安定生育の実証で、導入70本すべての生育を確認済みです。Phase 2では生育環境と成長速度の関係を分析し、通常1年半から2年かかる栽培期間を半分以下に短縮することを目指します。Phase 3は香り、辛み、食感、見た目など品質の追求に焦点を当て、水耕ならではの環境制御で短期育成と高品質の両立を狙います。Phase 4はシェフとの連携や地域の食育イベントを通じ、育てるだけでなく「食べる」「楽しむ」「知る」文化へ広げる段階です。今後は植物健康管理に特化した高解像度カメラの導入を予定し、葉や茎の反射光データを解析して光合成効率や健康状態を可視化します。わずかな異常の兆候を早期に検知し、迅速な原因分析と環境調整につなげ、観察、分析、改善、検証のサイクルを加速させる計画です。
見解 人工環境で“沢”を再現し、環境データを緻密に制御する設計が全株生育につながったと考えます。高解像度センシングの実装が、育成期間短縮と品質向上の要になるでしょう。
詳しくは「株式会社KIBOU」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部





















