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コラム

挑戦しないことが、最大のリスクになる時代

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企業経営では、失敗を避けることが大切だと考えられてきました。大きな投資をする前に慎重に検討する。新しいことを始める前にリスクを洗い出す。確実性を高めてから動く。もちろん、こうした姿勢は今でも重要です。ただ、私は最近、もう一つのリスクを強く感じています。

それは、挑戦しないことそのものがリスクになるということです。

何もしなければ、安全なのか

変化がゆっくりだった時代は、今あるやり方を守ることにも意味がありました。昨日と同じことを、今日もきちんと続ける。それによって安定した成果を出すことができました。しかし、今は違います。AIは急速に進化しています。顧客の行動も変わっています。働き方も変わっています。競争相手も、これまでと同じ業界の会社だけではありません。
そんな時代に、何も変えないという選択は、本当に安全なのでしょうか。私はむしろ、動かないことで少しずつ競争力を失っていく方が怖いと思っています。

失敗するリスクと、何もしないリスク

新しいことに挑戦すれば、当然失敗する可能性があります。新規事業がうまくいかない。新しい仕組みが定着しない。AIを導入しても、期待した成果が出ない。そうした失敗は、目に見えます。

だから怖い。一方で、挑戦しないことで失うものは、なかなか数字には表れません。若い社員が成長する機会を失う。新しい顧客に出会う機会を逃す。社内に挑戦する文化がなくなる。そして数年後に振り返ったとき、競合との差が大きく開いている。こちらのリスクは、気づいたときには取り戻すのが難しくなっています。

挑戦とは、大きな賭けをすることではない

ここでいう挑戦とは、無謀な賭けをすることではありません。何億円もの投資をすることだけが挑戦でもありません。まず試してみる。小さく始める。結果を見る。うまくいかなければ修正する。この繰り返しでいいと思っています。

AIも同じです。完璧な導入計画をつくることに時間を使うより、まず一つの業務で使ってみる。新しい事業も、最初から大きな成功を狙うのではなく、小さく顧客の反応を確かめる。挑戦とは、分からないから動かないことではなく、分からないからこそ小さく動いて確かめることです。

挑戦できる会社は、人が育つ

私は、挑戦することには、もう一つ大きな意味があると思っています。それは、人が育つことです。誰かに新しい仕事を任せる。自分で考えさせる。失敗も経験させる。そこから学び、もう一度やらせる。こうした経験がなければ、人はなかなか成長しません。
会社が失敗を恐れすぎれば、社員も失敗を避けるようになります。その結果、指示されたことだけをやる組織になってしまいます。逆に、挑戦することが認められる会社では、人は考え、動き、成長します。

最大のリスクは、変わらないこと

変化が激しい時代に、すべての挑戦を成功させることはできません。失敗することもあります。でも、その失敗から学び、次に生かせばいい。本当に怖いのは、失敗することではありません。変化を前にしても、「今のままで問題ない」「もう少し様子を見よう」と言い続けることです。変化する時代に、変わらないこと。それが、これから最大のリスクになるのではないでしょうか。

最後に、皆さんに一つ問いかけます。
あなたの会社は今、失敗するリスクと、挑戦しないリスクのどちらを大きく見ていますか。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。

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