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試合観戦の顧客体験向上へ、ジャイアンツと東京ドームが打ち出すDX戦略とは

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1秒でも速く観戦シートに腰をかけ、スタジアムの臨場感を味わってもらう――。こんな願いをかなえるため、 読売新聞東京本社、読売巨人軍、東京ドームの3社が2020年7月に打ち出したのが「ジャイアンツ × 東京ドームDX プロジェクト」です。「試合を観戦する」という体験がDXでどう変わるのか。3社が進めるプロジェクトの主な取り組みを整理しました。

 新型コロナウイルス感染症のまん延により、無観客や入場制限による試合開催を余儀なくされたプロスポーツは少なくありません。もちろんプロ野球も例外ではありません。観客の入場制限は緩和しつつあるものの、歓声を控える、鳴り物を使わないなど、今なお、コロナ禍ゆえの対策が求めれています。  そんな中、「プロ野球を楽しみたい」という観戦者の体験を向上させたい、あるいは新型コロナウイルス感染症へのリスクを減らしたいという思いで立ち上げたのが「ジャイアンツ × 東京ドームDX プロジェクト」です。具体的には、モバイルオーダーや自動ゲートの導入、電子チケットの発行などを実施します。以下で詳しく見ていきましょう。
図1:ジャイアンツ × 東京ドームDX プロジェクト

図1:ジャイアンツ × 東京ドームDX プロジェクト

事前注文、事前支払いのモバイルオーダー導入

 観戦しながら、スマートフォンを使って弁当や食事、飲み物を注文できるようにしました。スマートフォンでメニューを確認したり、代金を支払ったりできます。売店では商品を受け取るだけなので、行列に並んだり店員に代金を手渡ししたりする必要がありません。球場内には対応する売店を8カ所設け、売店の混雑を緩和できるようにしています。  観戦中に注文できるのはもちろん、試合の3日前から弁当を予約することも可能です。ダイヤモンドボックスシートとマススイートを利用する観戦者に限り、備え付けのタブレットを使って注文すると、商品を席まで届けるサービスも用意しています。  なお、2022年より球場内の全売店で完全キャッシュレス化を予定しています。2021年は、これまでのクレジットカードや電子マネーに加え、QRコードを使った決済手段を導入します。現金でチャージ可能なプリペイドカードを用意するなど、キャッシュレス決済手段を選べない人向けのサポート体制も整えます。

席選びから入場までをアプリで完結

 スマートフォン向けのジャイアンツ公式アプリ「GIANTS APP」を活用し、チケットをスマートフォン経由で購入できるようにしました。  購入する席が球場内のどのあたりなのかを把握しやすくするため、球場マップを使って席を選べるよう工夫しています。また、一緒に購入した同行者のチケットは、LINEや電子メールを介し、同行者のスマートフォンに送付することもできます。
公式アプリの画面例

公式アプリの画面例

 チケットを購入すると、同アプリにQRコードを付与した電子チケットが発行されます。東京ドームではすべての入場口にQRコードを認証する自動ゲートを導入しており、観戦者はQRコードを自動ゲートにかざすだけで入場できます。紙のチケットも自動ゲートに対応するため、これまでのように係員によるチケットの半券回収を全廃しました。行列に並ばずスムーズに入場できるようにするとともに、非接触による感染リスク対策としての効果も見込めます。
自動ゲートの設置例

自動ゲートの設置例

 なお、電子チケットの機能を公式アプリに追加するため、 Tixplusやイープラスが提供するSDK(ソフトウエア開発キット)を活用しました。

アプリで感染状況を共有

 新型コロナウイルス感染症対策にも余念がありません。2020年に導入したWebサービス「TOKYO DOME ALERT」に登録すると、ゲート付近やトイレの混雑状況を確認できます。球場マップが表示され、混雑しているのか空いているのかを視覚的に確認できます。ゲートは3段階、トイレは4段階に色分けして混雑状況を表示します。  また、新型コロナウイルス感染症に感染していた人が球場内にいたことが判明した場合、その座席近くにいた電子チケット利用者には注意喚起の通知が届きます。電子チケットを利用していなくても「TOKYO DOME ALERT」に登録しておけば、同様のサービスを受けられます。

顔認証技術を使った入場・決済の導入へ

 新たな試みも進行中です。顔の特徴から本人かどうかを自動識別する顔認証技術を使い、関係者の入場を許可したり一般来場者の買い物をキャッシュレスで決済したりする実証実験を進めています。顔認証技術を用いた入場・決済アプリケーションを提供するパナソニック システムソリューションズ ジャパンが主導し、2021年3月3日より実験を開始します。  関係者の入場を許可する実証実験では、関係者やスタッフ約200人を対象に、関係者専用の入り口や一般ゲートで実験を実施します。 事前登録した顔の画像と、端末のカメラで認証した顔を照合し、本人認証します。接触機会が減ることによる感染リスクや、チケット紛失やなりすましなどのリスクを抑止する効果を見込めます。2022年のシーズンから、一般来場者を対象とした導入を目指する方針です。  決済の実証実験では一般来場者を対象に、球場内の特定の売店で顔認証による決済を行っていきます。こちらも非接触による感染リスクを抑止できるほか、手ぶら決済による顧客体験の向上などを見込みます。

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