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コラム

残業規制のせいで「売上減少」が4割超! 『もっと働いて稼ぎたい』という社員の意思と画一的ルールの埋まらないギャップ

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2019年に施行された「働き方改革関連法」は、施行後5年の総点検(見直し)を実施することとされています。これを受け、日本商工会議所・東京商工会議所は2026年4月から5月にかけて、全国47都道府県の1,724社を対象に実態調査を行いました。結果を見ると、ひとつの構図が浮かび上がります。「平均で見れば問題ない、でも現場では綱渡りが続いている」という、数字の裏側にある歪みです。

表面上は「対応できている」企業が多数

正社員1人当たりの月間平均時間外労働時間は、「20時間未満」と回答した企業が約8割(81.0%)に達します。大半の中小企業が、時間外労働上限規制の範囲内で事業を回しているように見えます。また、上限規制によって「事業運営への制約が生じている」と回答した企業も全体では約2割(19.1%)にとどまります。数字だけを読めば、「多くの企業は適応できている」との印象を持つかもしれません。

「平均」の裏で起きていること

しかし、調査を細かく見ると別の景色が見えてきます。過去1年間で、1か月あたりの時間外労働が最も多かった正社員について尋ねると、「単月45時間以上」と回答した企業は全体の約3割(25.9%)に上ります。運輸業では実に62.5%に達し、情報通信・情報サービス業(35.2%)、製造業(34.6%)、建設業(32.1%)も続きます。

これは「全体平均では問題ない」が「特定の人材には長時間労働が集中している」という構図を示しています。専門・特定業務を担う人材の代替が困難な中小企業では、天候や取引先からの突発的な要請など他律的な事象への対応が特定の従業員に偏らざるを得ず、上限規制への対応が綱渡りになっています。

「事業運営に制約が生じている」企業のうち、売上が減少した企業は4割超(43.2%)、管理職・リーダー層の業務負担の増加や業務の偏在を訴える企業は6割超(63.2%)に上ります。制約は数字以上に、組織の深部へ影響を及ぼしています。

規制と「働く意思」のズレも見逃せない

もうひとつ注目すべき数字があります。収入の維持・向上、担当業務の完遂、スキル習得といった理由から、より長い労働時間を希望または承知する正社員が自社に「1割以上いる」と回答した企業が4割超(43.9%)に達します。運輸業では64.3%、製造業では55.0%です。規制の画一的な適用が、従業員本人の意思と乖離している場面があることを示しています。

労働時間を「減らしたい」と考える企業が約3割(30.1%)いる一方、「増やしたい」が9.4%にとどまる中で、企業側も従業員側もより柔軟な制度を求めていることがわかります。

企業が求める本質は「柔軟性」

時間外労働上限規制への対応として政府に求めることについては、「変形労働時間制・フレックスタイム制度等の拡充、要件緩和や手続きの簡素化等による、繁閑や予期せぬ業務に対応できる柔軟な労働時間制度の実現」を求める企業が約7割(72.6%)で最多でした。次いで「労働基準監督署の監督指導のあり方の見直し」が3割超(32.5%)で続きます。

企業の声が示すのは、「規制の撤廃」ではなく、繁閑の差が大きい業種や突発的な業務が避けられない職種に対して、実態に即した柔軟な制度を求めているということです。調査が示す結論はシンプルです。健康確保と労使合意を大前提としたうえで、現場の多様な実態に応じた制度設計の見直しが、いま求められています。

レポート/DXマガジン編集部 權
(出典:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の働き方改革に関する調査」集計結果(2026年5月25日)

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