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コラム

自ら出向く姿勢で商談相手の信頼を勝ち取れ!

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効率化の名の下に、画面越しのオンライン商談や打ち合わせを重視する人が増えています。しかし利便性と引き換えに、「相手への誠意」や「現場の空気」が失われていることに注意を払うべきです。便利さを追求するほど希薄になる人間関係の中、あえて「足を運ぶこと」の真の価値を問い直します。【週刊SUZUKI #163】

デジタルツールの普及と働き方の変化により、オンラインでのコミュニケーションは今やビジネスで常識となっています。訪問する移動時間を省略し、効率的に対話できるオンラインは、確かに生産性の向上に寄与しています。しかし、だからこそ今、改めて「直接出向く」という従来のスタイルの持つ意味が、相対的に高く評価されています。「出向くこと」は、単なる移動ではなく、相手に対する最大級の「敬意」と「誠実さ」の表現となるのです。

相手のために貴重な時間と労力を使い、物理的な距離を埋める行為は、言葉以上に「私はあなたを大切に思い、この案件を最優先に考えている」というメッセージを伝えます。効率を追求するほどビジネスからは「情緒」や「重み」が失われていきますが、わざわざ足を運ぶ不効率な行為が、その裏側にある確固たる覚悟を証明するのです。お客様が時間を割いてくださるのに対し、こちらも自らの身体を運ぶ。この相互の献身が、商談の場に独特の緊張感と真剣味をもたらします。対面で共有する一時間は、画面越しの一時間とは得られる信頼の深さも情報の解像度も、根本的に異なるのです。

現地に足を運ぶことでしか得られない「非言語情報」の価値も計り知れません。オフィスの理念、社員の活気、あるいは廊下で感じられる空気感。これらは、お客様の組織文化を理解するための極めて重要なヒントになります。また、商談前後の立ち話や見送りといった「余白の時間」にこそ、本音や重要な情報が漏れることが多々あります。現場の温度を共有することで営業担当者の感覚は研ぎ澄まされ、より相手の心に突き刺さる、血の通った提案が可能になるのです。

もちろん、すべての接触を対面で行うことは現実的ではありません。しかし、「伺うこと」をデフォルトとし、やむを得ない場合にのみオンラインを選択するという姿勢が重要です。安易に移動を避けるマインドセットは、仕事に対する「当事者意識」を希薄にし、相手との距離を遠ざけます。

泥臭く、靴を減らして歩く。一見、古臭く見えるその姿勢こそが、希薄な関係性が溢れる現代において、圧倒的な差別化要因となります。お客様のために心を尽くして会いに行く。そのひたむきな姿勢が、揺るぎない信頼関係を築き上げるための、もっとも確かな王道なのです。

【営業の心得 その6】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
富士通、ソフトバンクを経て99年に現セブンネットショッピングを設立。セブン&アイHLDGS.取締役執行役員CIOとしてグループのデジタルトランスフォーメーションを推進。17年にデジタルシフトウェーブを設立し現職。日本オムニチャネル協会会長等も務める。

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