寄稿・連載

    2021.12.28

    地方の広告代理店が抱える課題とDXを進める3つのポイント(前編)

    DX化の波は業界を問わず訪れています。広告業界も例外ではありません。多くの広告代理店がデジタルを駆使し、「ネット広告」に軸足を置きつつあるのです。しかし地方に限ると、「ネット広告で効果を出せない」「ネット広告が事業化できない」と踏みとどまってしまうケースが少なくないのです。何が原因なのか。ここでは地方広告代理店が直面する現状と、DXを進める上で圧し掛かる課題を整理します。※本記事で触れる「地方」とは、大阪と名古屋、福岡商圏を除く、首都圏以外の地域を指します。

    地方の広告代理店の現状

     地方のネット広告の取り扱い状況を首都圏と比較すると、案件数や売上、市場規模はどれも下回っています。要因の1つに、ネット広告に関する情報や支援会社が首都圏や大都市に集中していることが挙げられます。2017年時点では、日本のインターネット広告の年間売上高の85%以上が東京という調査データもあるほど、首都圏に集まっています。

     ネット広告の存在感は年々高まり、そのニーズは地方にもあります。しかし、地方にはネット専業の広告代理店が少なく、広告を出稿する広告主の知識も不足しているのが現状です。こうした状況から、地方の広告代理店は次の2つの特徴が見られます。

    ・Web制作会社や総合広告代理店がネット広告運用を受託している
    ・ネット広告に精通した人材への投資に消極的


     それぞれの特徴を詳しく解説します。

    「Web制作会社」や「総合広告代理店」がネット広告運用を受託している

     結論から言うと、餅は餅屋と言うように、ネット広告の運用は「ネット専業広告代理店」に依頼するのが一番です。しかし、地方ではネット広告を主に取り扱う「ネット専業広告代理店」は多くありません。そのため、広告主がネット広告を依頼する先は、Webページを作る際にオプションとして広告出稿を「Web制作会社」に頼むケースが目立ちます。元々新聞やテレビ、チラシなどの広告で取引のある「総合広告代理店」にネット広告運用を任せるケースも少なくありません。

     顧客である広告主からネット広告の運用を依頼された「Web制作会社」や「総合広告代理店」の営業担当者は当然、顧客の力になりたいという思いでネット広告の依頼を引き受けます。しかし、Web制作会社や総合広告代理店にとってネット広告は本業ではありません。運用に関する知識やノウハウが不足していることが多く、営業担当者が調べながら対応することも多々あります。結果として、効果的に広告運用できず、期待するような成果を得られないことが起こります。

     地方の広告主が「Web制作会社」や「総合広告代理店」にネット広告の運用を依頼する理由には、元々付き合いのある企業であれば、コミュニケーションに時間をかけずにやり取りできるという点もあります。

     新しい取引先が増えることによるコミュニケーション負担を懸念する広告主は一定数います。過去に取引実績のある企業ならば、自社の商材やサービス、ネット広告以外のプロモーション状況などを把握しているため、広告主はストレスを感じることなく依頼できるのです。

     これらの理由から、地方の広告主は「Web制作会社」や「総合広告代理店」にネット広告運用を依頼する傾向がとりわけ高いのです。

    ネット広告に精通した人材への投資に消極的

     地方の広告代理店が新たにネット広告事業を拡大していくために、「ネット広告に詳しい人材を採用する」選択肢もあります。しかし、地方でネット広告に明るい人材を採用するのは難しいのが実情です。

     さらに、地方では現在の経営状況を維持することを優先し、新規事業への人材投資に消極的な企業が珍しくありません。新規事業に参入せずとも地方経済が問題なく回っていれば、自分の身の回りのものだけしっかり守り、維持するという考えは当たり前とも言えます。“あえて参入する必要がない”という地方ならではの事情が、消極的な姿勢を打ち崩せずにいるのです。

    地方広告代理店の抱える3つの課題

     こうした環境を踏まえた上で、地方の広告代理店が抱えるネット広告の運用課題は3つあります。

    ・ネット広告に関する情報が不足している
    ・世代間でネット広告運用に対する考えが異なる
    ・組織体制を構築するマンパワーが不足している


     それぞれの課題を解説します。
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